ここ数年アニサキス騒動で一躍クローズアップされてきた「食中毒」だが、湿度と気温が上がるこれからの季節は特に注意が必要。そこで、日本獣医生命科学大学客員教授で、食品衛生コンサルタントとしても活動する池亀公和さんに、食中毒を撃退するための「新常識」を教えてもらった。
■抗菌には梅干しよりもわさびが効果的
お弁当の大敵・黄色ブドウ球菌の増殖を抑えるには、梅干しのクエン酸が効くといわれているが、じつはわさびのほうが効果的な場合もある。
「梅干しの効果が届く範囲は、エキスが染みこんだ部分だけ。抗菌効果のあるわさびの辛味成分は揮発性なので、密閉しておけばより広い範囲をカバーできると考えられます」(池亀さん・以下同)
■サラダは根菜ではなく葉物野菜を選んで
レタスやキャベツなどの葉物野菜と違い、にんじんやじゃがいもなど土の中で育つ根菜類には、細菌がついている可能性が高い。
「土の中には、O-157、ウェルシュ菌など細菌がうじゃうじゃ潜んでいます。根菜類を洗っても、細菌自体を完全に洗い流すことは難しいので、丁寧に土を洗うか、加熱調理がおすすめです」
■手荒れした素手ではおにぎりをにぎらない
「黄色ブドウ球菌は、人間の傷口や手荒れのカサカサ部分にも潜んでいます。そのため、手荒れした手でおにぎりをにぎると米に菌が付着。米の表面は黄色ブドウ球菌が毒素を出しやすい環境なので、増殖して食中毒を起こす危険があります」
素手ではなく、ラップやビニール手袋などを使ってにぎるほうが安全なのだ。
食中毒対策において最重要案件ともいえるのがお弁当。毎日の献立を考えるだけでもひと苦労だが、衛生面に配慮したひと工夫もお忘れなく。たっぷりの愛情だけでは家族の健康は守れません!