「10%への消費税増税に合わせて『キャッシュレス・ポイント還元事業』が始まりました。最大5%が還元されますから、うまく使えば、増税分を取り戻すことができます」
こう話すのは、税制に詳しい経済評論家の加谷珪一さんだ。2020年6月30日までの9カ月の間、対象となる店舗で現金を使わないキャッシュレスで支払った場合、対象商品の購入額の2%か5%のポイントが還元される。
「1ポイントは1円の価値です。クレジットカードなら翌月の決済時にポイント相当額を値引き、電子マネーだったら現金と同様に使えるポイントをチャージなど、どのように還元されるかは、決算の手段により異なります」
この事業に参加している中小・小規模事業者の店舗は、現時点で全国で約50万店ある。
「たとえば、地域の雑貨店や文具店などで購入時にキャッシュレス決済すると、基本的に『5%』還元。大手コンビニチェーンなどは還元率『2%』。大手コンビニの場合、2%が決済時に引かれるので、基本的には2%の値引きと同じです。しかし、大手百貨店や大型スーパーなどは還元の対象外になっています」
ただし、大手コンビニチェーンでも、各鉄道駅の構内にある店舗は、還元の対象外のものもあるため、確認が必要だ。
「対象店かどうかは、店頭に貼られているポスターやステッカーの有無で判断できる。また経産省が作っているホームページやアプリで、対象店舗を地図上で探すこともできます」
ポイント還元の対象となるのは、消費税がかかるものに限られる。
「よって、消費税がかからない医療費、学費、家賃は対象外。消費税がかかるものでも、住宅や自動車、株や金券類などの購入費も対象外です」(加谷さん)
どれくらいのポイントが還元されるのか。総務省の家計調査による、50代家庭の月の平均食費額は約6万円。5%が還元されると、月3,000円が戻ってくることに。
ほかにも、同調査によると、消耗品や洋服、化粧品など、少なくとも2万円ほどは還元の対象になる商品を購入しているので、食費とあわせると、月に4,000円分ものポイント還元を受けられる。制度が終了するまでの9カ月で、計3万6,000円も得するという計算になる。