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「外貨建て保険」の危険性について、本コーナーでもたびたび取り上げてきたが、またひとつ、見落としがちなリスクがあった。それは、クーリングオフを行ってもなお、損になることだ。そんな、外貨建て保険のクーリングオフについて、経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれたーー。

 

■クーリングオフ時までに円高が進めば大損してしまう可能性も。

 

外貨建て保険は、加入者から集めた保険料を、保険会社が外貨で運用する保険です。日本は今、超低金利ですが、たとえば「米ドルなら3%で運用可能」など宣伝し、利回りのよさから人気があります。

 

いっぽう、外貨建て保険は円と外貨の両替に為替手数料がかかり、保険の経費なども一般の円建て保険より高い傾向があります。払った保険料から、高い手数料を差し引いた残高だけが運用に回ると考えると、多少利回りがよくても、運用成績がいいとは思えません。

 

さらに、為替の影響を受け、契約時より円高のときに解約すると、損になるというリスクもあります。

 

保険自体をむずかしく思う人が多いなか、為替リスクまで含む外貨建て保険は、かなり複雑でわかりづらい商品です。’18年度に「説明が不十分」などの苦情が2543件寄せられ過去最多、6年間で4倍に増えました(生命保険協会)。

 

外貨建て保険は、「クーリングオフ」が可能です。クーリングオフとは、契約後でも一定期間なら、無条件で契約を解除できる仕組みです(金融商品は8日間)。クーリングオフを行えば、支払った金額がそのまま戻ってくるはずですが、外貨建て保険の場合はそうはいきません。

 

外貨建て保険は、契約前に日本円を外貨に両替し、外貨で契約します。契約を破棄すると、契約時の外貨で返金されるのが一般的。となると、外貨を日本円に両替するための為替手数料がかかりますが、この手数料は契約外。自腹を切るしかありません。

 

また、ここでも為替の影響を受けます。たった8日間でも円高が進めば大損してしまう可能性も。

 

こうした状況を受けて、保険会社は「円入金特約」を設けました。クーリングオフ時には、日本円で返金しようという特約です。この特約があると、クーリングオフの際には支払った日本円のまま戻ってくるため、余分な手数料を払わずに済みます。

 

しかし、銀行や一部の保険会社では、この特約が導入できていません。大手銀行では、みずほ銀行は対応済みですが、三菱UFJ銀行や三井住友銀行の全商品に導入するのは、来年春以降になるといいます。

 

外貨建て保険を勧誘され契約するのは、高齢者が中心です。というのも、銀行はまとまった資金を持つ方を把握して、狙い撃ちで手の出しやすい金額を指示するから。契約後すぐにリスクに気づき、クーリングオフに間に合えばいいのですが、もし8日間を過ぎてしまったら、消費者ホットライン(電話・188)にご相談ください。

 

金融商品は「わからないものには手を出さない」が鉄則。親御さんに退職金などが入ったときは特に注意して、何でも相談できる密な連絡を心がけましょう。

経済ジャーナリスト

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