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久しぶりの実家。ふと壁を見ると、前に帰ったときには、なかった気がする大きなヒビが……。両親は口をそろえて「このまま住み続けたい」って言うけどーー。

 

「人生100年時代といわれ、平均余命が延びる一方、これからの生活への不安から、余計な出費をしたくないと不便な一軒家に住み続けている高齢者が増えています」

 

そう語るのは、高齢者住環境研究所の溝口恵二郎さん。総務省の調査では、75歳以上世帯の約80%が自宅を所有している。災害が多かった今年、猛烈な台風やたびたび起こる地震に、離れて住む親、そして家を心配した人は多いだろう。高齢者の住宅建築やリフォーム工事に携わる溝口さんが続ける。

 

「60代でリフォームしている戸建てもありますが、子どもが独立して夫婦2人で住むため、あるいはきれいにするというアプローチでの改修がほとんど。シニアになってから起こる身体機能の変化には合わせていません。ちょっとした段差や滑りやすい廊下で転倒して、そのまま寝たきりになってしまうことが多いのです」

 

不便で老朽化している家を売り、駅の近くのマンションなどに引っ越すという選択肢もあるが……。

 

「不慣れな環境によるストレスや近所の人たちとの交友関係が途絶えたりすることも。できれば住み慣れた家にいたい、という高齢者の声が圧倒的に多いのです」

 

今は元気な親だが、いつか介護が必要になるかも……。しかも、築40年以上の家も珍しくない。家を建て替えるということも考えなければならないのだろうか。

 

親の家を建て替えるべきかどうかは次の検討ポイントを参考にしてほしい。1つでも当てはまるようなら業者に相談を。

 

□雨漏りしている
□天井に雨漏りのシミがある
□壁に大きなヒビがある
□床が過度に傾斜している
□柱にシロアリの被害がある
□昭和56年より前に建てられている。

 

ほかにはどんな注意点があるのだろうか?

 

「建て替えするかどうかは、単に“古い”ということだけでは判断はできません。外壁や屋根のメンテナンスを10〜15年に1回しているかが重要。建物のなかに水が入ったり、シロアリ被害にあったりして柱が腐っている場合は、築年数が新しくても建て替えを検討したほうがいいでしょう。ただし、問題は費用です。建物の面積にもよりますが、30坪ぐらいの家でも建築費は、解体費も含めて1,500万円ほど。それに加えて引越し費用や仮住まい費用がかかります」(溝口さん)

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