足裏や手のひらと同様、口の中にもツボがあることをご存じだろうか。「口腔ケアは健康対策の最前線」という歯科医師・野本恵子先生によると、じつは、歯ぐきには40以上ものツボがあり、マッサージで刺激することによって、さまざまな効果が得られるという。
「歯ぐきのツボは全身とつながっているので、刺激してあげることで不調や疲れの軽減、リラックス効果が期待できます。リンパの流れがよくなるので、老廃物も排出できますし、もちろん、血流がよくなって唾液が分泌されることで、口内環境がよくなり、口臭や虫歯、歯周病も改善されます」
なかでも、野本先生がもっとも重要だと思っているのが、現代人に多い歯周病の予防と改善。
「歯周病とは、歯周病菌によって引き起こされる炎症性疾患ですが、その問題は口腔内にとどまらず、全身の疾患の原因になるのです。たとえば、心筋梗塞や脳梗塞。歯周病菌は酸素を嫌うので歯周ポケットに隠れていて、そこから血管にもぐり込みます」
血液中の悪玉コレステロールと結合するとできるのが粘りのあるプラークだ。
「プラークが心筋梗塞や脳梗塞の原因である血栓になります。当然、血流も悪化するので、不調や老化にも影響しますし、糖尿病やアルツハイマー型認知症との関係性もわかってきているんですよ」
歯周病こそが、認知症を含む万病のもとなのだ。
「女性自身」2020年3月3日号 掲載