感染拡大が続くいまも全世界の医療研究者たちが全力で新型コロナウイルスにまつわるデータ収集や研究を続けている。そうしたデータ収集の結果、いまもっとも注目されているものの1つが“男女差”だ。
「4月9日の会見で菅義偉官房長官が、日本国内の感染者の男女の割合は男性が約6割で、死亡者では7割強に上っていることを明らかにしたのです」(医療ジャーナリスト)
この男女差については東京都で、感染者では男性65%に対し女性が35%、死亡者では男性が76%に対し女性が24%だったとも報じられている。
「女性のほうがコロナに感染しても生存率が高い、という傾向は日本だけではなく、中国やヨーロッパなどでも報告されています。たとえばスイスではコロナウイルスによる死亡者の60%が男性だそうです。スイス公共放送に出演した専門家は、男女のホルモンの違いも生存率を分ける要因の1つではないかと指摘しています。女性ホルモンのエストロゲンのほうが、男性ホルモンのテストステロンよりも、免疫システムを強くかつ早く反応させることが多いというのです」(前出・医療ジャーナリスト)
また免疫機能について詳しい東京医科歯科大学名誉教授の藤田紘一郎さんは、次のように解説してくれた。
「新型コロナウイルスに関してはまだデータがありません。しかし女性は“子孫を残す”という役割を持っているために、男性に比べて、外的要因に対しても免疫力が高くなっているのは事実です。また、よく指摘されているように、男性のほうが衛生を保つといった“細かいこと”を気にしないという傾向もあると思います」
さらに、男性のほうが習慣化している率が高い喫煙や飲酒も新型コロナの感染率や死亡率に関係している可能性もあるという。
「特に喫煙により呼吸器へ負担がかかっている可能性は高いと思います。また“飲みすぎ”は免疫力を下げてしまいます。お酒を飲める人でも、1日に2合までなら免疫力を高めますが、それ以上飲むと、低下させてしまうのです。いま禁煙を始めても、これまでの蓄積があるため、大きな効果は期待できないかもしれません。しかしお酒を控えることで免疫力を高めることは可能なのです」(藤田さん)
たとえ手さぐりのなかでも“いまできること”を続けながら、人類が新型コロナウイルスに打ち勝つ日を待ちたい。
「女性自身」2020年4月28日号 掲載