「さまざまな食材を冷凍しておき、その日、必要なものを必要なだけ調理する。50歳を過ぎて子どもが巣立った家庭でこそ、こんな冷凍術が活躍します。手をかけずに、多品目の食材を取り入れた栄養バランスのよい食事を作れるようになりますよ」
そう話すのは、医学博士、管理栄養士として食と栄養に関する著書を60冊以上手がけてきた本多京子さんだ。
夫婦2人の食卓では、子育て時代と比べて、使う食材の量が減ってくるもの。白菜1玉や3本セットのにんじんはお買い得ではあるけれど、食べ切れないことを理由に諦める機会が増えたのでは。
「思い切って買ったとしても、使い切るために毎日同じ食材ばかり食べ続けていると、調理法を変えたとしても飽きてきますし、なにより栄養が偏ってしまいます」
それを解決するのが、本多さんが提案する食材の小分け冷凍術。大物野菜でも大容量のパックでも、フリーザーバッグに小分けして冷凍すれば、その日使いたい食材を必要な分だけ取り出して使うことができる。大根おろしや薬味など、少量加えるだけで料理の仕上がりがグレードアップするものを常備しておくことも可能だ。
「2人だけの食卓だと食材の種類が限られ、“ばっかり食”になりがちですが、いろいろな食材を冷凍しておき、一度の食事で多品目を少しずつ食べられるので、栄養バランスがアップ。大容量のパックを気にせず買えるという点では、節約にもつながります」
さらに「野菜が悪くなる前に使いきらないと」というプレッシャーからも解放される。その日食べる分だけ調理できるので、結果、食事の量をコントロールでき、ダイエットにもつながるのだ。
「ただし、年を取ってからの食事は、ダイエットより低栄養に気をつけましょう。年齢を重ねると、食べられる量は減ってきますが、必要な栄養素は若いころと変わりません。70代女性でも、1日に必要なタンパク質量は30代女性と同じ50グラムなのです。シニア世代の食卓で栄養をまんべんなく摂取するには、やはり食材の小分け冷凍術が役立ちます。タンパク質をじゅうぶんにとりたいなら、下味をつけて冷凍したひき肉を朝、昼、夜と少しずつ料理に加える方法をおすすめします。朝食ならオムレツに、昼食ならパスタに、夕食にはゆでた青菜や豆腐に加えれば、手間をかけずに、タンパク質をプラスすることができます」
小分けに冷凍した食材は、レトルト食品との相性も◎。たとえば、レトルトのパスタソースに冷凍ひき肉、ブロッコリーなどをプラスするだけで、栄養もボリュームもアップする。
“小分けして必要な分だけ使う”保存法で、シニア世代の食卓を豊かにしよう!
「女性自身」2021年2月16日号 掲載