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還付金詐欺が、また増加している。還付金詐欺とは、医療費の払い戻しなどを受け取れるとそそのかして、被害者をATMに誘導しお金を振り込ませる詐欺だ。

 

還付金詐欺の被害は’16年に最多を記録したが、警察や金融機関などの対策によって、’20年には’16年より被害件数は半減、被害額も約4割減少していた。

 

ところが、’20年末ごろから増加に転じ’21年1〜4月の件数は前年同期比で約2倍、被害額も11億6,000万円超と83%増に。そんな還付金詐欺について経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれたーー。

 

■コンビニのATMも携帯電話に要注意!

 

還付金詐欺の具体的な手口はこうです。まず、自治体や税務署など公的機関の職員を名乗り「還付金の期限が迫っている」といった電話がかかってきます。たまたま入院したなど心当たりがあると、「返金はぜひ受け取りたい」と身を乗り出すでしょう。

 

そこで詐欺師は「ATMの操作で受け取る方法がある」とだまし、被害者をATMに行かせて、携帯電話で話しながらATMを操作させます。被害者はお金がもらえると思って指示に従うのですが、実際は被害者のお金が詐欺師の口座に振り込まれるというわけです。

 

冷静になればわかると思いますが、ATMを操作して受け取れるお金などありません。公的機関が個別に電話をかけ、還付金の案内をすることもありません。

 

こうした詐欺に対して金融機関では、高齢者への声かけや、一定期間ATMを使用していない高齢者に振り込みや出金の限度額引き下げなどを行ってきました。指示どおり操作しようとしても思うようにいかず、職員にたずねたら詐欺が発覚したことも多いようです。

 

さらに、ATM付近で携帯電話の利用自体を規制する動きが出てきました。今年4月に多摩信用金庫と城南信用金庫で始まり、徐々に広がっています。

 

また三菱UFJ銀行では、’20年秋以降、警視庁が携帯電話の電波を遮断し通話を止める装置を取り付けている店舗もあるそうです。還付金詐欺は「携帯電話で話しながら」が特徴ですから、「ATM付近は通話禁止」が浸透すれば、詐欺被害は減ると思います。

 

ただ、今度はコンビニATMを利用する詐欺が増えるかもしれません。金融機関のATM付近には職員がいますが、コンビニATMは誰も見ていないからです。

 

やはり詐欺被害を受けやすい高齢者の注意が大切です。たとえば、自宅電話は常に留守番電話にしておくこと。留守番電話のメッセージが流れると、電話を切る詐欺師が多いといわれています。

 

また、お金絡みの電話はいくら急かされても家族か、消費者ホットライン(188)や警察相談専用電話(#9110)に相談を。

 

コロナ禍で人々が孤立し、健康や家計の不安が大きいいまは、どんな人でも詐欺に遭いやすいものです。「私は大丈夫」と甘く見ず、ご用心を。高齢の親御さんにも、注意するようお声がけください。

経済ジャーナリスト

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