今も昔も家庭内で妻が担う役割はあまりにも多い。「家事はすべて私がやらなきゃ」と頑張りすぎる方は特に必見。夫を上手に動かすだけで、家事の負担も自分のストレスも大きく軽減しますよーー!
「コロナ禍になって以降、多くの人は外出する機会が減ったと思います。家族が家にいる時間が長くなり、その負担が一気に主婦にのしかかっています。この1年半ほどで、主婦はストレスを感じやすくなっているのです」
そう話すのは、行動習慣コンサルタント(R)の冨山真由さん。『シャキッ!つい怠ける自分を「科学的に」動かす方法』(すばる舎)などの著書もある冨山さんが、人材育成の経験や行動科学の観点から「家庭内マネジメント」の重要性を教えてくれた。
それでは、夫を動かす「家庭内マネジメント」の具体的な方法を見ていこう。
【1】妻がリーダーになると家庭内が円滑!
家庭内においては「妻がリーダーで、夫はパートナー」だということを肝に銘じよう。
「パートナーであるからには、家庭内では夫に動いてもらいます。リーダーである妻が家庭内をどうするか決められるため、夫に役割を与え、うまく動かして、育成することが大切です。子どもは学業や部活や習い事などがあるため、頼めば手伝ってくれる“臨時スタッフ”という扱いで◎」(冨山さん・以下同)
【2】家事の手順を言語化して、内容を夫に理解してもらおう
家事を頼む以前に、多くの夫は何をどうしたらよいのかをわかっていないのが現状だ。ゴミ出しを例に挙げて説明しよう。まず、夫は家のどこにゴミ箱があるかを把握していない。玄関にまとめたゴミ袋を置いておけば、捨ててくれるかもしれないが、家のいたるところにあるゴミを集めて捨て、新しいゴミ袋をゴミ箱に設置するまでがゴミ出しだということを理解していない。
「夫には各部屋のゴミ箱の場所だけではなく、『キッチンの三角コーナー、トイレのエチケットボックス、お風呂の排水口からもゴミを集めてね』などと、イチから詳しく説明しなくてはいけません。『私がいつもやっているようにやればいいのよ』などと思いがちですが、残念ながら多くの夫は見ているようで見ていません。ふだん、妻がしている家事の内容をわかっていないのです」
【3】日時や頻度を数値化すると夫の理解がさらに進む
家事を指示する際には、行動科学の「MORS(具体性)の法則」にならい、カウントしたり数値化したりなど、具体的に伝えることがポイントだ。
「『燃えるゴミは火金の朝8時半までに出してね』などと詳細情報を伝えねば、夫はゴミを出し忘れます。『掃除機は月水金にかけてね』『1週間に1回は玄関の掃き掃除をしてね』などと、頼む際に日時や頻度を付け加えましょう」
最初はウンザリするかもしれないが、慣れてしまえば相手が動いてくれるようになるため、自分のストレスも格段に減るという。
【4】習慣化させるには褒めることが近道
夫に教えた家事は継続してもらわねばならない。せっかく丁寧に教えたのに、次週からやってくれないなんてことは、ザラにある。
「新しく学習したことが定着していないのです。妻が『この前頼んだじゃない!』と感情的になっても、夫は『なんで怒っているんだろう。怖いなぁ』くらいにしか思っていません。結局イライラするから、自分でやってしまうという女性が多いのですが、『今日は助かった。ありがとう』と一言添えると効果てきめん。夫に教えた家事が習慣化していきます」
これを行動科学では「動機づけ」という。行動に対して、一言、承認・認知する。「ありがとう。助かったよ。また来週もよろしくね」と言うだけで、夫は「また来週もやろう」という気になる。人から感謝されると、それが喜びになり、また貢献しようと思えるのだ。
【5】自己肯定感を高めれば自分も家族もハッピーに♪
自分がイライラしていたら、家族に対してつい言葉がキツくなりがちに。実は「家庭内マネジメント」を行う際にもっとも大切なのは、自分の基盤を整えることだ。
「趣味など何か自分がやりたいことを始めてみましょう。興味がある分野に足を踏み入れたり、パートで働いてみたりなどでも◎。『今日も1日楽しかった』『誰かの役に立った』と実感できます。自分から動けば、自己肯定感が高まり、日常がどんどん楽しくなります」
やりたいことが見つからない人は、夜寝る前に自分が今日1日でやってよかったことと、明日これをやろうというちょっとした楽しみを書くことがオススメだ。
「今日やったことへの肯定感を再確認して、明日はこうしようと目標を立てて寝る。すると、1日が完結してリセットされます。その小さな積み重ねが自己肯定感を高めていきます」
自分の心がけひとつで生活が楽しくなる。家庭内マネジメントで夫を動かすと同時に、自己肯定も習慣づけて、コロナ禍をストレスフリーで乗り切ろう!