「急激な物価高は、原油や天然ガスなどのエネルギー価格の高騰が主要因です。モノを作ったり、輸送するのにも燃料が必要ですから、穀物や資材などの価格も上がっているのです。さらに、急激な円安が、輸入価格も高騰させている。来年4月に日銀の総裁が代わる見込みですが、そのころには円安はある程度、解消されるでしょう。ただし、今後のエネルギー価格の動向については未知数です」
そう語るのは、経済評論家で、楽天証券経済研究所・客員研究員の山崎元さんだ。
小麦価格の高騰を受けて、今月2日にフジパンと敷島製パンが、7月1日出荷分から食パンなどを値上げすることを発表した。先月には製パン業界最大手の山崎製パンも値上げを発表していて、いずれも今年2回目の値上げとなる。
ほかにも、麺類、飲料、食用油、冷凍食品や食肉、調味料まで、あらゆる身近な食品類が軒並み値上げ。電気・ガス代に加えて、電車運賃やティッシュなどまで値上げとなっているから、家計への影響は計り知れない。
ファイナンシャル・プランナーで、社会保険労務士の井戸美枝さんはこう語る。
「“ぜいたく品”ではなく、生きていくために必要なものの値段が上がっているのが問題です。今後、支出が2割増えると考えて、家計も、老後の資金についても考えていく必要があるでしょう」
’19年、金融庁の報告書をきっかけに、老後資金が2,000万円不足するという問題が話題になった。仮に支出が2割増えた場合、不足金額はいくらになるのだろうか。
コロナ禍前の’19年の消費支出をもとに、金融庁の計算式にあてはめてみると……。年金額が変わらない場合は毎月約8万1,000円不足し、65~95歳までの30年で約2,925万円足りなくなる計算に。
まさに老後3,000万円不足なのだ。
「しかし、これはあくまでも高齢夫婦無職世帯の一例で、支出も収入も何も見直さなかった場合です。老後を安心なものにするためには、しっかりとした準備をすれば、老後のお金の不安は解消できるのです」(井戸さん)
超低金利時代、銀行に資産を置いていても、ほとんど増えることはない。投資で資産を少しでも増やすことができれば、老後の生活を豊かにできる。そこで、山崎さんに資産運用のコツを聞いた。