要介護1、2を介護保険制度の対象外に…そんな“制度改悪“が現実味を帯びている。専門家はこの改正で、介護の担い手が急減する可能性を指摘。介護サービスが受けられず、家庭の負担が急増する恐れがあるのだ!
介護に疲れた81歳の夫が、79歳の妻を車いすごと海に突き落とすーー。そんな痛ましい事件が11月2日、神奈川県で起きたことは記憶に新しい。じつは今後、こうした悲惨な事件を増発させかねない、介護保険制度の“改悪”が進行中だという。
「財務省や厚労省は、介護にかかる支出削減のため、これまで在宅で訪問・通所サービスを受けていた要介護1、2の利用者を、介護保険制度の給付対象から外し、自治体が行う総合事業に移行させるという“介護給付はずし”を進めています。厚生労働省の社会保障審議会・介護保険部会で議論が佳境に入っていて、年末には結論が出てしまうのです」
そう危機感を募らせるのは、同審議会の委員も務める「認知症の人と家族の会」副代表理事の花俣ふみ代さん。
同じく委員を務める全国老人福祉施設協議会副会長の小泉立志さんも、「毎日、介護事業者などから『なんとかしてほしい』というメールや意見が山のように寄せられています」と戸惑いを隠せない。
自治体の総合事業とは、介護予防・日常生活支援総合事業(以下、総合事業)のこと。これに移行されると、自治体の判断によって研修を受けた地域住民などを、ヘルパーよりも低い報酬額で、有償ボランティアとして動員することが可能に。“素人介護”となる可能性が指摘されているのだ。