安価で購入でき、家計に優しい「もやし」。実は、このもやしには多くのパワーがある。タンパク質やビタミンC、B2、アスパラギン酸、GABAなどのアミノ酸、食物繊維、コラーゲン、カリウムやカルシウム、大豆イソフラボン、葉酸など、驚くほど栄養が豊富な野菜なのだ。特に、大豆もやしには強力な栄養と機能性がある(一般に販売されているのは緑豆もやし。大豆もやしは豆の部分が残っている)。
栄養士で食生活アドバイザーの成田和子さんは、こう話す。
「大豆もやしは緑豆もやしより圧倒的に栄養価が高く、まさにスーパーフードといえる野菜。緑豆もやしに比べ、含まれるタンパク質やカリウム、カルシウムは2倍以上になります」(以下・成田さん)
特に注目したいのが、もやしに含まれるGABAという成分だ。
「GABAを1日に12.3ml、毎日摂取すると、血圧を下げる効果があると報告されています。そして、大豆もやしには100gあたりGABAが10mlg前後含まれるといわれます。
特に、大豆もやしの特徴として、大豆の状態ではほとんど含まれていないGABAが、発芽すると50倍に増加するのです。血圧が気になる人は、積極的に取りたい食材といえるでしょう」
加えて、発芽後にはビタミンCが約5倍になり、ビタミンB²は3倍に増加するという。また、大豆イソフラボンは骨の成分を維持するほか、肌にうるおいを与えるため、乾燥肌に悩みがちな女性にはとてもうれしい成分だ。
「また、もやしは、抗酸化作用も豊富です。細胞にダメージを与える活性酸素の発生を抑え、高血圧や動脈硬化にも効果があり、血管や皮膚の老化を防ぎます。また、カリウムが尿とともに過剰なナトリウムを体外に排出するため、血圧の安定にも役立つのです」
この大豆もやしと、ぜひ組み合わせてほしいのがレモンだ。疲労回復効果に優れているという。
「レモンに豊富に含まれるクエン酸には、体内でエネルギーを生み出すサイクルであるTCA回路を活性化する働きがあります。このサイクルがしっかり機能することで、疲労のもとになる乳酸が分解されます。さらに、もやしのアスパラギン酸がTCA回路のサイクルを手助けするのです。もやしやレモンをそれぞれ単体で取るよりもいっしょに取ったほうが、効果がより大きくなるというわけです」
そこで、最強コンビのもやしとレモンをいっしょに効果的に取れる一品として紹介したいのが、「もやしレモン」だ。
作り方は写真でもわかるようにとにかくカンタン。もやしを電子レンジで加熱し(600Wなら2分半、500Wなら3分)、そこに白だし大さじ2、レモン果汁大さじ2を加えて混ぜるだけ。5分で調理できる。白だしのうま味とレモンの酸味や爽やかさがバツグンにマッチして、これだけで箸が止まらなくなり、やみつきになってしまう人が多いのだ。
「もやしレモンは冷蔵庫で保存しておけば、2~3日は持ちます。もやしは1袋に約200g入っていますから、1日に100g程度食べると効果的だと思います。常備菜にして毎日食べてほしいですね」