家の各部屋をそうじしようとする場合、多くの人が最初にとりかかるのが「リビング」です。
滞在する時間が長い分、一番散らかりが気になる場所なので、ここが片づけば、「そうじの8割が終わった」と思う人も多いでしょう。
でも、これは勘違いです。
では、どこから始めるのがいいのでしょうか。
「お部屋の魔法学校」校長で、『望み通りの人生を手に入れる 片づけ大全』(光文社)の著者である山田ヒロミさんに聞いてみました。
ズバリ、「トイレ」です。
トイレがちょっとでも汚れていると、それが家全体の「キレイの基準」になってしまいます。
「まあ、いいか」と放置していると、やがて家じゅうが汚れて散らかってきます。
とうのも、トイレは「汚れの伝染が起きやすい場所」だからです。
みなさんは「割れ窓理論」をご存知ですか?
アメリカの犯罪学者ジョージ・ケリングは、1枚の割れた窓ガラスを放置すると、さらに割られる窓ガラスが増えて街全体が荒廃すると唱えました。これが「割れ窓理論」です。
1990年代にニューヨークのルドルフ・ジュリアーニ市長が、この理論を治安対策に取り入れ、警察職員を5,000人増員して、1枚の割れた窓ガラス=軽犯罪を徹底的に取り締まりました。
市民も自らゴミを片づけ、ギャングの縄張りの印だった壁の落書きを消していくなどして、軽犯罪の予防に取り組んだところ、1994年からの5年間で殺人が67.5%、強盗が54.2%、婦女暴行が27.4%も減少したのです。
つまり、ささいな犯罪を放置していると、やがて凶悪な犯罪が頻発するので、たとえ割れた窓1枚といえども見逃してはならない、ということです。
トイレのちょっとした汚れが、この「割れ窓」に当たります。トイレの汚れをそのまま放置していると、家族全員にその気持ちが伝わり、やがて家全体がすさんだ雰囲気になっていくのです。
それを防ぐためにも、まずはトイレをきれいにそうじすること。
そうすると、他の部屋に対しても同じようにキレイにしようという意識が働いて、後々家じゅうが散らかるのを防ぐことにつながります。
また、ゴミ箱の周りにゴミがあふれた状態も「割れ窓」。
これも放置しておくと、自分自身や家族のモラルを低下させ、やがて家の中がゴミだらけになっていきます。
ゴミ箱は、容量の大きいものにするか、フタ付きのものにすると、ゴミがあふれる事態を防ぐことができるのでおすすめです。
ほかに、壁のちょっとした凹みやドアの傷なども「割れ窓」に当たります。ホームセンターなどで簡単に手に入る材料で、それらを修復したとたんに、家がキレイになり、荒れていた息子さんが元の優しい姿に戻るなど、家族仲が改善したケースがたくさんあります。
あなたも「家の中の割れ窓はどれか」という視点で、片づけに取り組んでみてくださいね。
【PROFILE】
山田ヒロミ
日本メンタルヘルス協会公認心理カウンセラー。ルームセラピー(R)考案者。人生が楽しく美しく深いものになる出版と講座を行い、これまで1万人を超える変容のサポートを行っている。著書に『未来先取り日記』『【実践版】未来先取り日記369』(濱田まゆみとの共著)、『宇宙とつながる“お部屋の魔法”』(以上、大和出版)、『お金を呼び込む部屋づくり』(PHP研究所)などがある。
【INFORMATION】
書名:望み通りの人生を手に入れる 片づけ大全
著者:山田ヒロミ
発売日:2022年12月21日
価格:1,760円(税込)
発行:光文社