ネット上の有料サービスに、登録方法によって料金が異なる「二重価格」が広がっています。たとえば動画配信の「YouTubeプレミアム」は、サービス内容は全く同じですがWEBサイトから登録すると月1180円で、iPhoneアプリだと月1550円。レシピサイト「クックパッド」の有料会員も、サイトは月308円で、iPhoneアプリは月400円です。一般的に料金はアプリ登録のほうが高いことが多く、差額が月370円でも1年で4440円、10年で約44000円と、契約が長期間になるほどもったいないことに。
そもそも利用者が払った料金は、クレジット会社などの決済事業者が手数料を差し引き、残りがサービスの提供者に渡ります。決済事業者の手数料はサイト経由だと3%程度で、アプリ経由だと10~30%。この違いが価格に反映され、二重価格が生まれるのです。ただ、二重価格はネットサービスやクレジット決済に限ったことではなく、実は身の回りにあふれています。食品や日用品、電化製品などでも、最近は統一された「定価」がほとんどなく、価格は販売店が決めるのでさまざまです。
■薬や電気にも差が判断は慎重に行おう
また、銀行の手数料など以前は横並びだったものが、いまや銀行ごとに時間帯や場所などで細かく設定されることも増えてきました。たとえば三菱UFJ銀行のユーザーが、平日日中にセブンイレブンやローソンのATMを利用すると手数料は220円ですが、同じコンビニATMでもファミリーマートだと198円です。また、25日と月末日の日中は、どのコンビニATMでも無料です。
さらに、病院で処方される薬などは、国が定める薬価があるからどこでも同じだろうと思っていたら大間違い。病院の近くにある薬局のほうが、病院から離れた薬局より安いことが多いです。というのも、薬局の規模や場所によって、調剤基本料などが違うからです。ほかにも、電気・ガス料金は自由化後、契約する会社によって料金が異なります。どの電力会社でも、供給電力や機能は変わらないにもかかわらず、です。
同じ商品やサービスなのに価格が違う現象は、近年、顕著になってきました。私たちは、特に値の張る買い物や長期的に利用するサービスなどの価格差に、敏感にならねばなりません。そのため「価格の比較サイト」などを利用するのもよいでしょう。メーカーも型番も同じ商品なら安いに越したことはありません。修理などのアフターフォローはメーカーが行いますから、どこから買っても問題ありません。
とはいえ、判断基準が「安さ」だけというのも危険です。極端に安い場合などは、なぜ安いのか、理由を確かめましょう。23年も物価高は続くでしょう。これからは同じ商品、サービスを安く買う方法に乗り換える「換え活」で、家計防衛に努めましょう。