10月から、最低賃金の全国平均が1千55円に上がります。
最低賃金はパートやアルバイトなどを含むすべての雇用者に適用されます。最低賃金以上の給料を払わない雇用主には、50万円以下の罰金が科せられることも。
賃金が実際に上がるのは10月初旬です。引き上げ以降の給料で、最低賃金を上回っているか確認しましょう。注意点は、交通費や各種手当を引いてから時給計算すること。もし最低賃金未満だとわかったら、すぐに交渉してください。
ただし、1千55円は全国平均です。最低賃金は都道府県によって異なり、秋田県の951円から東京都の1千163円まで、その差は212円あります。
今回は全国的に、前年より50円ほど上がります。週20時間働く人は週1千円、月4千円、年4万8千円増えます。これを手放しで喜べないのが、配偶者の扶養の範囲内で“年収の壁”を超えずに働きたい方でしょう。
東京商工リサーチの調査によると、現状10月以降の最低賃金より低い時給の企業は19.2%あり、賃上げを行わねばなりません。加えて、すでに最低賃金を超えていても賃上げするという企業が21.1%。合わせて約4割の企業が賃上げ予定です。年収の壁を超えたくない方はご注意ください。
“働き損”より手取りを増やすことを考えては さらに、2024年10月から社会保険加入の義務化が拡大されます。加入の条件は(1)週に20時間以上働くこと、(2)月収が8万8千円以上(年収106万円以上)などと、企業の規模があります。現在の加入条件は従業員数101人以上の企業ですが、10月以降は従業員数51人以上の企業に広がります。
つまり10月以降は年収の壁の拡大と最低賃金アップ、両方の影響に悩む人が増えるのです。
年収の壁を超えたくない理由は、保険料を負担すると手取りが加入前より減ることが大きいようです。
確かに月収10万円だと、健康保険や厚生年金、雇用保険、所得税で約1万4千500円引かれ、手取りは約8万5千500円。“働き損”と思う方もいるでしょう。
ですが月収11万円になると保険料などが約1万6千600円で、手取りは約9万3千400円。年収の壁を超える前の8万8千円より手取りが増えます。最低賃金が上がる機会に、年収の壁を超えることを考えてみてはいかがでしょう。
会社の健康保険に加入すると、病気やけがで休んでも給料の3分の2が支給される「傷病手当金」の対象になります。厚生年金に加入すれば、老後にもらえる年金が増えるなど、メリットも多いです。
さらに、物価上昇がすぐに落ち着くとは考えられません。このまま物価が上がり続けたとき、今の収入のままで大丈夫ですか。
最後に、フリーランスや自営業者などは雇用者でないため、最低賃金が適用されません。国には、フリーランスなどにも最低賃金に代わる基準を設けてほしいと思います。