盗難目的で窓ガラスが割られただけでも補償の対象に(写真:nobutono1005/PIXTA) 画像を見る

昨年は“闇バイト強盗”が多発。ターゲットになりやすい高齢者などをさせた。凶悪な殺人はもちろんだが、強盗や盗難に恐れを抱いた人も多いだろう。

 

警察庁の犯罪統計によると、2024年1~11月に住宅に侵入して金品を盗む「侵入窃盗」は1万4千601件起きている。1日あたりに換算すると約44件。「強盗なんて人ごとだ」と見過ごせない状況だ。

 

「強盗など盗難による経済的な損失は、火災保険で補償されます」

 

そう話すのは『NEWよい保険・悪い保険2025年版』(徳間書店)の著者でファイナンシャルプランナーの長尾義弘さん。

 

火災保険は火災だけでなく、水害や風害、雪害などの自然災害を補償対象としていることはよく知られているが、実は、盗難被害もカバーしているという。

 

「ただし契約内容しだいで、盗難は補償されないこともあります」(長尾さん、以下同)

 

大手損保会社の多くは、補償の範囲を限定することで保険料を変えた3種類ほどの火災保険プランを用意している。保険料のもっとも安い「エコノミープラン」などの場合、盗難補償が含まれないこともあるという。

 

また、ネット系の損保会社では、必要な補償を自分で選んで保険を構築することが多い。補償範囲を広げると、当然その分の保険料が高くなる。保険料を抑えるために、盗難補償をはずしている人がいるかもしれない。

 

「加入中の火災保険で盗難被害が補償されるかは、保険証券を見ればわかります。この機会に確認してください」

 

そもそも火災保険は、補償対象を「建物」と「家財」に分けている。賃貸住宅に住む人は家財のみの加入が一般的だが、持ち家の人は建物と家財の両方に加入することが多い。とはいえ「両方だと保険料が高くなる」などの理由で、建物だけに加入する人もいる。

 

盗難補償は、盗まれたものの被害額に加え、盗難目的で住宅に侵入された際に壊されたものの補修費用なども補償される。「ガラスを割って侵入した犯人に、現金の入った財布を盗まれた」ケースでは、ガラスの補修費用と現金が補償されるといった具合だ。

 

「ただし、割られたガラスは建物、盗まれた現金は家財にあたります。補償対象が建物と家財なら両方補償されますが、建物のみの場合、現金は補償されません。

 

また、火災保険は損害の実費を補償するのが原則ですが、現金や切手、有価証券などは総額で20万円までなど、補償の上限を設けている保険会社が多いです」

 

ほかにも、絵画や骨とう品、貴金属など30万円を超える高価なものは事前に登録が必要で、補償範囲も1個につき30万円までなどと設定する保険会社が多いという。

 

それでも犯人に門扉やドアの鍵などを壊された、フローリングが傷つけられたといったときに、盗難補償があると助かるだろう。

 

しかも、盗難補償の保険料は安いのだ。ソニー損保「新ネット火災保険」での保険料シミュレーションが左上の表だ。火災や水災、風災などの補償はすべて同じにして、盗難補償の有無だけを変えて比較した。

 

結果、盗難補償単独の保険料は、建物が年76円、家財が年682円、両方で年758円だ。全体の保険料が年5万円超であることから考えると、盗難補償の保険料はわずかといえるのではないだろうか。

 

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