今年5月、大阪市内のマッサージ店でアロマオイルの拭き取りに使用したタオルをコインランドリーで洗濯乾燥したあと、乾いたタオルを店で重ねて置いていたら約4時間後に発火したという(TBS NEWS DIG)。
製品評価技術基盤機構(NITE)は7月8日、「高温環境で起こりやすくなる油の自然発火事故」として注意喚起を発表。
さっそくNITE製品安全広報課の丸田萌さんに事例を聞いた。
「まず今年5月、家庭の電気衣類乾燥機で起きた発火です。深夜0時ごろ、庫内にタオルや衣類、クッションを入れ、運転開始。翌8時ごろ、焦げ臭いので確認すると、煙が上がっていました。衣類から不飽和脂肪酸が検出されています。
乾燥機の熱い中に詰め込まれて熱がこもり、発熱反応が起きて自然発火の温度(200度以上)にまで上がったと思われます」
また、学校の調理実習室で使った雑巾を洗濯し、約60枚をガス衣類乾燥機で乾燥。
「その後、自動火災報知設備が作動し、事故調査の段階で油の成分が検出されています」(丸田さん、以下同)
さらに、食品加工工場で電気衣類乾燥機を作動中に発火。
「数十枚のタオルを乾燥させていたところ火災報知機が作動。タオルから油の成分が検出され、天井は焦げていました」
これらは、いずれも洗濯をした後に発火・発煙などをしており、油の成分(不飽和脂肪酸)が検出されていることが共通項だ。
「油には脂肪酸という成分が含まれ、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸があります。不飽和脂肪酸が空気中の酸素と反応して発熱し、この発熱反応が繰り返されることで、タオルなどの中で熱が蓄積、やがて自然発火します」
連日の猛暑日となっている夏はとくに危険だという。
■アロマオイルだけでなく魚の油でも発火の恐れが
「夏の高温環境下では、より熱がこもります。温度が10度上がれば、反応速度が2~3倍になるといわれているんです」
だから、「夏のほうが自然発火に至りやすいと思われる」という。
不飽和脂肪酸は、アロマオイルなどのマッサージオイル、グレープシードオイル、オリーブオイル、大豆油やヒマワリ油、そして健康にいいとされるアマニ油、さらに魚などの油にも含まれている。食用油などは、食卓や台所に普通にあり、こぼれれば雑巾で拭くので要注意だ。
では、対策は?
「油が付着したタオルは、乾燥機やドラム式洗濯機の乾燥機能を使わず、風通しのいい場所で干してください。また、直射日光下で干したものをそのまま畳んで重ねると、発火の可能性がありますので、大量に重ねず、涼しい部屋に置いてください。
油を拭いた布は、油汚れが落ちやすい洗剤でもみ洗いし、洗濯のみのコースで2度洗濯して、風通しのいい場所で干してください」
冬場だけでなく、夏も火の用心で気を付けよう!
