《がんの手術はうまくいった。いわゆる全摘……お腹切って、子宮も卵巣もリンパ節とかその辺もごっそりとった……》
10月7日、タレントの山瀬まみさん(56)が、約7カ月ぶりに復帰したラジオ番組で、子宮体がんの全摘手術を行ったことを告白した。さらに、その手術の合併症で、脳梗塞になっていたとも。
子宮体がんは40~60代の女性に多い婦人科系のがんで、国立がん研究センターが発表した2021年の子宮体がんの罹患者数は1万9千71人。20年前に比べて約2.5倍にものぼり、女性の45人に1人が罹患するとされている。
■子宮体がんの発症数はこの20年で2倍超に!
今、増えているという子宮体がんとは、いったいどのような病気なのだろうか。埼玉県にある産婦人科クリニック小室医院理事長・小室順義先生に聞いた。
「子宮体がんとは、子宮の袋状になっている子宮腔の内膜から発生するがんです。
私は50年以上産婦人科医として婦人科系のがんの診断もしていますが、50年前は、子宮のがんといえば、9割以上が子宮頸がんを指していました」
その子宮頸がんは子宮の入り口部分(子宮頸部)の粘膜上皮から発生するがんで、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が主な原因となる。
当時は日本の子宮体がんの発生率が低かったのに対し、欧米では子宮頸がんと子宮体がんの割合が1:1だったと小室先生は言う。
「ところが、とくにこの20年間で、子宮体がんの患者がどんどん増えていて、今では、子宮体がんのほうが子宮頸がんより多くなっています」(小室先生、以下同)
前述のように、2021年の子宮体がんの患者数は1万9千71人だ。それに対し、子宮頸がんの患者数は1万690人。小室先生の言うとおり、子宮体がんは「子宮のがん」の筆頭になっている。
子宮体がんの患者数は、30代から徐々に増え始め、40代から急に増える。そして、50代でピークを迎え、60代以降緩やかに減少する。山瀬さんの年代である50代後半は、まさに患者数のピークの年齢域だ。
この年代に子宮体がんが増える理由について、小室先生は次のように説明する。
■原因はエストロゲンの過剰な分泌
「子宮体がんには女性ホルモンのバランスが関係しています。月経がある年代では、2つの女性ホルモンのエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)がバランスよく分泌されることで、子宮内膜が周期的に『月経』として剥がれて排出されます」
ところが、女性ホルモンの分泌が減る閉経期あたりから、エストロゲンとプロゲステロンのバランスが崩れて、エストロゲンが分泌過多になっていくのだという。
「それによって子宮内膜で異型の細胞が増えます。これを子宮内膜増殖症といい、がん細胞に変化していくのです」
