イラン・中東情勢の悪化の影響が、命を預かる医療の現場にも広がっている。
現在、ホルムズ海峡の封鎖による原油輸送の滞りから、プラスチックの原料となる石油製品「ナフサ」の供給不足が問題に。医療現場でも注射器や手袋、チューブなど、ナフサ由来のプラスチック製品が幅広く使用されていることから、ナフサ不足による医療現場のリスクが懸念されている。
特に問題視されているのが、人工透析の医療現場だ。透析治療で使用されている「透析回路」や「廃液容器」などはナフサが原料。SNS上では「#透析が止まる日」というハッシュタグで透析治療の停止を危険視する投稿が多くなされている。
現在全国の透析患者は約34万人で、週数回の透析治療を受けないと命に関わることも。政府はナフサをはじめとする石油原料の安全供給体制の確立を図っており、高市早苗首相は4月5日、ナフサの供給について自身のXで《少なくとも国内需要の4カ月分を確保している》と説明していた。
これまでも新聞やテレビをはじめとするメディアが透析治療の停止リスクを報じている。しかし、メディア報道と実際の医療現場にはややズレが見られるという。白鷺病院理事長で日本透析医会の山川智之会長は、本誌の取材にこう答える。
「現時点では透析医療の現場に具体的なナフサ不足の影響は出ていません。日本では透析に使用する医療材料は1回きりの使い捨てという流れでやっていますので、今後も材料は必要になります。ただ、医療機器メーカーからも直ちに供給に支障があるという状況にはなっていないと聞いています。
心配される患者さんからの問い合わせが来ていることは私も聞いています。しかしマスコミの報道と現実の医療現場にはやや温度差があると感じています。医療材料が供給困難になれば、すべての医療がストップしてしまいますから、透析だけがちょっと騒がれすぎているかなと思います」
