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「餃子の町」といえば、栃木県宇都宮市と静岡県浜松市が有名。この2市が、1世帯当たりの餃子購入額で、トップ争いを続けてきたからだ。そして3位は、中華料理チェーン「餃子の王将」発祥の地でもある京都市というのが、餃子ファンの間では常識だった。

 

ところが’15年、この順位にある変化が起きた。まったくノーマークだった宮崎市が、いきなり京都市を抜いて購入額3位に躍り出たのだ。いわば新たな餃子の「聖地」が誕生した格好だ。

 

「ここ数年、4位から10位の間を推移していました。3位になったのは初めてで、驚いています」

 

そう語るのは、宮崎市観光協会の高島弘行専務理事。たとえば宇都宮市の餃子は白菜を多用し、浜松市の餃子にはもやしが添えられているなど、ご当地餃子には、よそにない特徴を持っているものが多い。

 

しかし高島さんによれば、宮崎餃子の特徴は「まったくありません」という。

 

「皮も、薄いものから厚いものまで、さまざま。具材もキャベツ、白菜、地鶏など、店によって異なり、これといって統一されてはいません」

 

そんな何の特徴もない餃子が、なぜ急に人気を集め始めたのか?さっそく、現地の餃子事情を調べるべく、宮崎に飛んだ。

 

メニューが餃子だけという直球1本勝負の店「黒兵衛」。店長・黒木賢次さん(67)が、宮崎餃子の歴史を教えてくれた。

 

「戦後に満州(現中国東北部)帰りの人が広めたから、県内の中華料理店は老舗が多いよ。ウチの親父もそうで、延岡市にある本店は開店して60年になる。この店も37年目。宮崎市民は、何十年も前からおいしい餃子を食べ慣れてるんよ」

 

言葉少なめな“イケメン”の3代目・航平さん(24)が焼いてくれたのは、そんな長い歴史を引き継いだ、手作り餃子。忙しいときは1日1,000個を焼くとか。キャベツの甘みを強く感じる、あっさりとした味付けで、いくつでも食べられそう。

 

「宮崎は農業が盛んで、新鮮でおいしい野菜が一年中てに入る。それをただ包んで焼いて、出しているだけ(笑)。浜松や宇都宮も材料が豊富でしょうが、宮崎も負けん!」

 

前出の高島さんも、宮崎食材のおいしさに強くうなずく。

 

「農業だけでなく、宮崎は、鹿児島に次ぐ全国2位の畜産県。野菜も肉もおいしいから、それを材料に使った餃子が、おいしくないわけがないんですよ。観光協会では今回のニュースを受けて、次号の観光情報誌では餃子特集を組む予定です。『一度、宮崎の餃子を食べにこんね!』と言いたいですね」

 

地震でたいへんな思いをしている九州の人たちにとって、明るい話題になってほしい!

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