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「これほどサンマが捕れないのは、オレが働いて40年になるけど初めてのこと。毎年、目黒のさんま祭りに宮古のサンマを届けているけど、今年は9月3日の祭りまでに1匹も捕れず……。北海道で水揚げされたサンマを届けました」

 

こう語るのは岩手県・宮古漁業協同組合の坂下尚司さん。秋の食卓の代表格・サンマの不漁が深刻だ。

 

「ここ数年、サンマ不漁が続いていますが、今年はとくに深刻です。日本近海の水温が高いことでサンマが近づかないこと。それに加えて、8月中旬から日本も大型漁船による操業が始まりましたが、その前に、中国や韓国の大型漁船に先取りされてしまったことが不漁の要因。今年のサンマの水揚げ量は、過去最低だった昨年の半分に落ち込むかもしれません」(北海道水産林務部・木村環主幹)

 

今年は夏らしくなかったなあ……。さて、これからは食欲の秋だ! と思いきや、サンマをはじめ、秋の味覚が次々高騰中。本誌は代表的な秋の味覚の価格を緊急調査してみた。

 

【サンマ】

 

先述のように前代未聞の不漁にともない、サンマの値段が暴騰している。

 

「平年なら1尾150〜180グラムのサンマが、先日水揚げされたのは脂ののりが悪い100〜120グラムのサイズばかり。それでも去年より1,000円も高い1キロ4,300円で取引されました。例年なら1尾100円程度ですが、今年は5倍ほどに。1尾1200円で売られても驚きませんね」(北海道・根室漁業協同組合担当者)

 

【なす】

 

「いつもなら1袋(5本程度)100円ですが、今日は200円で。しかも小さいサイズばかり。『高いわね』とお客さんに文句を言われるけど、利益は度外視しているんですよ」(スーパーイズミの五味衛社長)

 

【ぶどう】

 

日照不足の影響は、ぶどうにも及んでいるという。生活経済ジャーナリストの柏木理佳さんが語る。

 

「山梨で作られる『巨峰』『デラウエア』などの価格が、昨年と比べて2〜3割ほど高くなっています。7月下旬から続く日照不足で、色づきが悪く収穫が遅れていることが影響しています。これから出荷が増えていくので、価格も落ち着いてくると思いますが、9月に入って、気温が下がったことが気がかり。1日の寒暖差が大きいほど、糖度が増していくのですが……」

 

【梨】

 

秋を彩る梨も同様だ。

 

「果実を肥大させるためには梅雨時に適度な雨量がほしいのに、空梅雨だったことで生育が伸びませんでした。その影響で小玉傾向です。梨は、全国的に出荷量が少なく高値が続いていますが、鳥取県の梨の出荷量は前年比82%。価格は3割高です」(JA鳥取中央東郷選果場担当者)

 

【まつたけ】

 

長野県上伊那地域振興局の担当者が語る。

 

「害虫の発生もみられず、これからの暑さのぶり返しがなければ、平年並みに出荷でき、価格も例年どおりになると思います。しかし、ここ数年豊作が続いていますが、まつたけは豊作と不作を繰り返します。今年は不作と予想する人も。それが当たった場合には……」

 

さらにまつたけの値が上がる要因は別にもある。

 

「中国産のまつたけが品薄状態です。中国の天候不順が原因ですが、中国人にまつたけの需要が増えたことも関係しています。そのあおりを受け国内産の価格が2〜3割とジワジワ上がっています」(柏木さん)

 

食欲の秋、芸術の秋はいいけれど、値上げの秋は、もう勘弁してよ〜。

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