「将来的な胃がんの予防法としては、ピロリ菌の除菌は大きな前進になります。これまで保険適用されていた胃潰瘍や十二指腸潰瘍などから、さらに患者の多い慢性胃炎まで保険適用が広がったとなると、これを機に内視鏡検査を受けて、ピロリ菌の保菌者が判明する機会が増えます。30代、40代の方が除菌するというのは、非常にいいと思います」

 

と語るのは、東京大学医科学研究所附属病院で消化器外科、消化器内視鏡を専門とする、釣田義一郎医師(48)。胃がんの原因になるといわれるピロリ菌だが、実際にそうなのだろうか?

 

「ピロリ菌の存在自体に発がん性はないと考えられていて、ピロリ菌によって慢性胃炎となり、胃壁がカサカサになって長い年月を経て胃がんになると考えられています。ピロリ菌を保菌しているからといって胃がんになるのはごく一部ですが、反面、胃がん患者の大半がピロリ菌を保菌しています。そのことから陰性の人の胃がんになる可能性は低いと予想されるので、除菌をおすすめします」(釣田医師・以下同)

 

検査法は、便や尿検査、薬剤を飲んだ後の吐く息の成分で判定する「呼気検査」など、体に負担のない形で感染を判定できる。だが慢性胃炎まで診断するには内視鏡検査が必要。ピロリ菌が見つかれば投薬によって除菌する。現在、保険適用の疾病以外は自由診療となるため、医療機関によって費用は変わる。

 

「本院の場合、内視鏡検査を含めた一連の除菌までに、約5万円かかります。ピロリ菌が原因の胃炎まで保険適用拡大されましたが、それを判定するまでには別途、内視鏡検査料が必要です。ただ、治療費においては、薬代は実費で1万円ほどですので、約3千円で除菌できるようになるのではないでしょうか」

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