『人間ドックにだまされるな!』(主婦の友社)を刊行し、物議をかもしている総合内科専門医の大竹真一郎医師(46)。その真意は何なのか。
「専門医である私の目から見ても、現在の健康診断や人間ドックは受診者の健康に役立つ仕組みになっていないと思うのです」(大竹医師・以下同)
現在の健康診断では病気の発見率は高くなく、年間250億円が投じられているメタボ検診も医療費の抑制には役立っていない。そして、人間ドックも次のように問題だらけだという。
●やる気のない医師が多すぎる!
「人間ドックの労働環境はほぼ“9時5時”。検査だけで治療もしませんから、現場に疲れた、意識の低い医師の転職先として人気なんです」
●検査結果を出したらそれっきり
「検査を受ければA~E判定の報告書が出ますが、問題はC判定(要再検査)。Bに近いCなのか、Dに近いCなのかを見極めるのが医師の仕事なのに、コンピュータまかせの医師が多すぎる。最初に既往歴を申告する際に、面接をせずアンケートだけのところは要注意です」
●赤字医院のドル箱部門のケースも
「人間ドックは保険の適用外なので、10万円以上することも珍しくない。しかし、値段の高さと精度はまったく無関係。大病院でもCTやレントゲンに医師が立ち会わないところはいくらでもある。赤字の補填のために人間ドック科が置かれているケースもあります」
●オプションのガン検診は無意味
「子宮頸ガン、乳ガン、大腸ガン(便潜血)の3つ以外のガン検診は科学的根拠がなく、受ける意味がありません。MRIという装置を用いて広くおこなわれている脳ドックも、過去の脳梗塞歴がわかるだけで、予防にはなりません」
こう聞くと、「人間ドックは受けるな」と聞こえるが、大竹医師は信頼できる医療機関で受診する必要性を説く。
「人間ドックを受診して、まったくの健康体で『すべて異常なし』と診断された人はたったの7.8%。たしかに、人間ドックで高血圧だとわかっても、脳卒中になるのは30人に1人。ですが、将来自分が病気になりうるというリスクを知ることは、予防のうえで本当に大切なのです」
(週刊『FLASH』5月27日号)