「便秘は、自律神経の乱れが大きな原因のひとつ。胃や腸の消化や吸収などをつかさどるリラックスモードの副交感神経の働きを高めることが、便秘解消の決め手です」
そう語るのは、順天堂大学医学部教授で自律神経研究の第一人者の小林弘幸先生。多くの人を悩ませる便秘。だが、規則正しい生活、適度な運動、バランスのよい食事などを心がけるだけで症状は違ってくるという。それにより、副交感神経の動きが活発になり、腸がいきいきと働くようになるのだ。
「実際、便秘外来を訪れる患者さんのうち、治療が必要な方は1割ほどで、残りのほとんどの患者さんは、生活習慣を変えるだけで改善しています。実は、3〜4日、便が出なくても、支障はありません。腹部に違和感がなければ便秘ではないのです。こうお話しするだけで、ほっとして治る人も3割ぐらいはいるのです」
副交感神経は、女性では40歳から働きが鈍くなってしまう。そのため便秘になる人も。そのときに重要なのが、腸を外から刺激することだそう。そこで、小林先生がとっておきの“快腸マッサージ”を教えてくれた。
「患者さんを診察してわかるのが、便がたまりやすいのは、大腸の曲がり角です。とくに、右の腰骨の脇あたり、右の肋骨の下あたり、さらには左の肋骨の下あたりにある大腸のコーナー付近は便がたまりやすくなっています。この部分に親指だけを開いた状態にして手を当て、そろえた4本の指をまわしながら押し込むように、優しくもみほぐしていきます。1回3分くらいが目安でしょうか」
もし硬く感じる部分があれば、重点的にマッサージを。
「また、お風呂のなかや入浴後など、体を温めてからやると効き目がいいようです。ただし、痛みを感じるほど、強く刺激するのは禁物ですからね」
そんな腸のマッサージをより実効性のあるものにするのが、夜のヨーグルトだ。
「朝のイメージのあるヨーグルトですが、副交感神経がよく働き、腸の働きも活発になる夜に食べたほうが、乳酸菌が定着しやすいので効果的です。不思議なことに、長年悩まされてきた便秘が改善すると『空がきれい』と感じる患者さんがたくさんいます。それは心身ともに健康になったからでしょう」