最近、遊園地のいわゆる“絶叫マシーン”には年齢制限が設けられているものがある。この高齢化時代に乗車可能年齢に上限?年齢制限のあるアトラクションに乗ることは、体にそんなに強い影響を及ぼすのか?そこで、検証すべく、ゆかりさん(51)と本誌記者O(26)が富士急ハイランドで、乗車前と乗車後の血圧を測ってみた。
まず挑戦したのは「高飛車」(年齢制限・〜60歳)。最大落下角度121度がギネス世界記録にも認定された大型コースターだ。「高飛車」乗車前のゆかりさんの血圧は、121/80mmHg。正常血圧値が120〜129/80〜84(日本高血圧協会HPより)なので、正常値といえる。
「最初の真っ暗闇の中での走行はほんまに怖かったけど、なんだかわくわくしたわぁ。でも垂直上昇と落下姿勢での一時停止でわくわくしたことを後悔したけどな(笑)」(ゆかりさん)
絶叫アトラクション初体験後の血圧は154/122とかなり上昇。絶景ポイントである落下姿勢での一時停止のとき、富士山を眺める余裕はどこにもなかったという。
次に体験したのは「トンデミーナ」(年齢制限・〜59歳)。50人乗りの大きな円盤が、回転しながら25mのアームによって振り子のように左右に大きく揺れるアトラクションだ。一見動きも単純で、「これなら私も怖くないかも!」と笑顔のゆかりさん。体験前の血圧は118/75。やや低いものの問題なかった。
ところが−−。この「トンデミーナ」、実はとんでもなくスリリング。記者Oも乗車中「怖〜いぃ」と叫び続けることとなった。「トンデミーナ」で真っ逆さまに見える景色を満喫した後のゆかりさんの血圧は176/114。またもや上昇したのであった。
そして、有名な「ええじゃないか」(年齢制限・〜60歳)へ。「ええじゃないか」が頭上を通過するたびに、「ぎゃああああー!」という叫び声が聞こえる。その声におののきながら血圧測定。恐怖心が募ったせいか、ゆかりさんの血圧は、またまた低めの114/76。
「もう何が起こったかわからへんかったわ。この年になってこんなスリルを味わう日がくるとは思ってもみいひんかった。いやぁあれに乗ったんやなぁ……信じられへんわ」(ゆかりさん)
乗車後、そう「ええじゃないか」を眺めならがテンション高めのゆかりさん。血圧も190/110と大変高めであった。
年齢制限、自身の体調に合わせてバランスよく楽しむことが大切な絶叫アトラクション。そもそもどうして年齢制限を設ける必要があるのか、医学的に絶叫アトラクションは体にどんな影響をもたらすのか、東京慈恵会医科大学・循環器内科准教授の川井真医師にたずねてみた。
「個人個人が自分の体の状態を見極めて、乗れるか乗れないかを正確に判断できればいいのですが、そこが個人の判断では甘くなりがちです。だから誰でも判断できる基準として、いちばんわかりやすい年齢で制限しているのだと思います」(川井医師)