「血管内皮細胞には重要な働きが2つあり、その1つが、血管を守るバリア機能です。健康な血管内皮細胞は、悪玉コレステロール(以下、LDL)などの“不要なもの”が血管の内膜に侵入するのを防いでいます。しかし生活習慣の乱れによる高血圧や高血糖などが続くと、この内皮細胞が機能障害を起こし、バリア機能が低下します。LDLが血管の内膜に侵入すると、前述のようにプラーク(コブ)ができ、血液の通り道が狭くなってしまいます。またプラークが傷つくと、血栓も生じます。さらに血栓が血管を詰まらせると、脳梗塞や心筋梗塞を引き起こすのです」
そう警鐘を鳴らすのは、循環器と血液のスペシャリスト・池谷敏郎先生。冬に血管事故が増えるのは、寒さで血圧が急上昇することで、プラークが傷つきやすくなるためだ。血管内皮細胞を健康に保ち、血管力を上げるために重要になってくるのが生活習慣、とりわけ、バランスのよい食生活だそう。
池谷先生が「血管の老化を改善する」と太鼓判を押すのが、豆乳オリーブオイル。オリーブオイルと豆乳、すし酢を混ぜただけのかんたんな調味料だが、血管の若返りを手助けする、さまざまな効果が期待できるという。ふだんの調味料の代わりに豆乳オリーブオイルを使うことで、減塩も。作り方は次の通り。
【材料・できあがり量は約200ml】豆乳(成分無調整)…100ml。オリーブオイル(エキストラバージン)…40ml。すし酢…大さじ1。※すし酢を使用しない場合は、米酢大さじ1、砂糖小さじ1、塩小さじ1/6を合わせたものを加える。
【作り方】ボウルに豆乳を入れ、オリーブオイルをほんの少量ずつ乳化させるように混ぜる。最後にすし酢を加えてとろみをつける。※できあがった豆乳オリーブオイルは煮沸消毒した保存びんに入れ、冷蔵庫で保管。保存の目安は5日間。時間の経過とともに油が少しずつ分離するので、その場合はスプーンで底を混ぜる。
「オリーブオイルを使っているので、血管の炎症を引き起こすリノール酸の取りすぎを防ぐことができます。またオリーブオイルに含まれるオレイン酸には、血圧やLDL値を下げる働きもあるのです。ポリフェノールも豊富ですから、血管や細胞の酸化予防の効果もありますね。たとえば酸化したLDLは、動脈硬化を引き起こす原因となるのですが、酸化予防が、血管を含め全身の老化抑制に大きく関わっているのです」
オリーブオイルと豆乳との組み合わせも好相性だ。
「豆乳にもポリフェノールが豊富に含まれているほか、大豆サポニンなどにも血圧やLDLを下げる作用があるため、この2つを同時に摂取できるということで、さらなる血管の若返りが期待できます。豆乳には大豆タンパクも豊富なため、血管の材料としてもおすすめです。また大豆イソフラボンにより、更年期障害対策もできます」
そのほかにも、2つの食材に含まれるビタミンEが免疫力を高めるというから、風邪の流行が気になるこれからの季節はとくに重宝しそうだ。毎日の食事を手軽に「血管老化改善メニュー」に変えられる豆乳オリーブオイル生活。あなたも始めてみては?