「いま、国民の45%、約半数が慢性的な耳鳴りに悩んでいます(厚労省の「2013年国民生活基礎調査」による)」
そう話すのは、上馬場和夫先生(帝京平成大学教授)。なんと15年前の同調査から、耳鳴りで悩む人は倍増しているのだ。まさに“隠れ国民病”といえよう。
「本来なら耳が老化していない20代でも、防音室に入ると、8~9割が耳鳴りを自覚する状況。それほど耳鳴りは、状況次第では誰もが体験する症状なのです。ただ、近年のヘッドホンで音楽を聴くなどの習慣により、耳の神経を酷使して加齢を早めていることも一因かもしれません」(上馬場先生・以下同)
上馬場先生は、西洋医学と東洋医学を組み合わせた統合医療の第一人者。頭痛、腰痛といった不定愁訴や関節痛など、原因のよくわからない症状の治癒に取り組んできた。
「私の患者さんにも耳鳴りに悩んでいる人は多い。その人たちを診察しているうちに、ひとつの共通点があることに気が付いたのです」
それは頭皮のつっぱり。緊張やむくみで、頭皮が硬くなっている状態なのだという。
「頭皮が硬くなると、頭皮の血流が停滞します。これが耳鳴りの原因のひとつになっているのではないかと考えました」
そこで、ヒントになったのが、「チャンピサージ」といわれる頭皮マッサージ。
「チャンピはインドの言葉で頭のオイルマッサージの意味。シャンプーの語源といわれます。インドで発祥し、英国で研究が進む頭皮マッサージのひとつで、頭皮下の血流をよくするのに非常に優れています。ただ正式なチャンピサージは、専門の施術士が行います。それを自分一人で簡単で効果的にできないかと考案したのが『つむじゆるめ』なんです」
インドの伝統医学に精通し、日本アーユルヴェーダ協会理事長でもある上馬場先生だからこそ、考案できたオリジナルメソッドなのだ。上馬場先生に「つむじゆるめ」のやり方を教えてもらった。
【1】耳の付け根ほぐし
(1)耳の後ろ、胸鎖乳突筋の付け根を中指で3秒間×3回もみ、緊張をほぐす。
(2)両方いっぺんにやってもよい。
【2】側頭部ほぐし
(1)両手の指の腹を耳の上の頭皮に当て、上下に5回頭皮を動かす。
(2)指の位置を上にあげて、側頭部中央の頭皮を上下に5回動かす。
(3)指を頭頂部に移動し、頭頂部の頭皮を上下に5回動かす。
【3】頭皮ゆるめ・A
(1)片手で襟首真ん中の髪の根元をつかみ、上下に3回ひっぱる。
(2)手を上に移動させ、後頭部真ん中の髪の根元をつかみ、上下に3回ひっぱる。
(3)手で頭頂部の髪の根元をつかんで、上下に3回ひっぱる。
【4】頭皮ゆるめ・B
両耳の上の髪の根元をつかんで、上下に3回ひっぱる。
【5】頭皮ゆるめ・C
おでこの左右の生え際の髪の根元をつかんで、上下に3回ひっぱる。
【6】耳ふさぎ
手のひらで両耳をふさぎ、手のひらで耳と周囲を温めて終了。
「耳鳴りを自覚するのは就寝時が多いので、就寝前に6つのセルフケアをそれぞれ10秒、計1分間、『つむじゆるめ』をすると症状が軽減し、睡眠に入りやすいはずです」