ここ数年アニサキス騒動で一躍クローズアップされてきた「食中毒」だが、湿度と気温が上がるこれからの季節は特に注意が必要。そこで、日本獣医生命科学大学客員教授で、食品衛生コンサルタントとしても活動する池亀公和さんに、食中毒を撃退するための「新常識」を教えてもらった。
■アルコール消毒も単なる気休めにすぎない
食中毒対策としてアルコール除菌を心がけている人は多いが、じつはほとんど意味がないという。
「アルコールが殺菌効果を最大に発揮するのは濃度約70%のとき。ぬれたまな板に噴霧しても、一瞬で水分と混ざり濃度が低下し、効果はほとんどありません。それよりも熱湯で洗い流し、きちんと乾燥させるほうがおすすめです」(池亀さん・以下同)
■「3秒ルール」はまったく根拠なし!!
食べ物が床に落ちても3秒以内に拾えば菌はつかないという考えは、単なる都市伝説。
「細菌はどこにでもいますから、食べ物が床に触れた瞬間に付着します。ただ、室内より屋外の地面のほうが菌はたくさんつくでしょうね。とくに山などは細菌だらけの獣のフンもあるので、落ちたものを安易に食べないほうが安全です」
■鮮度に不安があるお店より、いっそ解凍もののほうが安心!
「魚に寄生するアニサキスは、マイナス20度で24時間以上冷凍すると死滅して、感染の危険がなくなります。ですから、産地直送の新鮮な魚を食べるよりも、冷凍もののほうがリスクは低いと言えますね」
鮮度が落ちた魚ほど危険なので、一度冷凍した「解凍もの」を選ぶほうがアニサキス感染のリスクは低そうだ。
食中毒に関する誤った認識は、意外なところまで浸透しているもの。“昔の人の言い伝え”をうのみにすることなく、最新の情報を毎日の生活習慣のなかに、積極的に取り入れていこう!