「従来のインフルエンザ予防というと、『うがい・手洗い・マスク』でした。しかしいま、新しい対策法として“紅茶を飲むこと”が注目されているんです」
こう話すのは、環境ジャーナリストの村田佳壽子さん。厚生労働省の調査によると、定点観測する医療機関からのインフルエンザ患者報告数が11月4〜10日の時点で、1施設当たり1.03人となり、流行期入りの目安とする「1人」を超えたことがわかった。
全国的に流行するのは、例年よりも数週間から1カ月程度早く、この時期の流行入りは、統計を取り始めて以降、新型インフルエンザが大流行した’09年に次ぐ2番目の早さだという。
「東京都内では第46週(11月11〜17日)の患者報告数が828人を記録。過去5年で最多ペースと、今季は“大流行”が危惧されています」(社会部記者)
そんなインフルエンザのウイルス、紅茶が撃退してくれるということを知っているだろうか。紅茶が持つ効果について、日本紅茶協会・専務理事の米川榮さんはこう説明する。
「紅茶には、『紅茶ポリフェノール』のひとつ『テアフラビン』が含まれています。このテアフラビンがインフルエンザウイルスを無力化、つまり細胞への感染を阻止する能力を持つことが判明したのです」
’18年、株式会社バイオメディカル研究所の特別研究員・中山幹男医学博士が行った実験では、シャーレにイヌの腎臓細胞を培養し、インフルエンザウイルスを感染させた。そこに、ティーバッグ1袋を熱湯150ミリリットルで1分間抽出した紅茶を浸したところ、「わずか15秒で99.9%のウイルスを無力化できた」のだという。
「ウイルスは、表面にある『スパイク』という突起物を駆使して、鼻や口の粘膜に侵入、細胞に吸着します。紅茶ポリフェノールは、このスパイクにくっつくことで、ウイルスが細胞に吸着する能力をほぼ100%奪うことができます。同実験では緑茶やしょうが湯、ビタミンC飲料よりも、紅茶のほうがはるかに高い感染阻止率を持つということもわかっています」
さらにこの紅茶ポリフェノール、A型、B型、新型など、あらゆる型のインフルエンザウイルスに同様の効果をもたらしたという。米川さんは、“紅茶が直接体に予防効果をもたらすわけではない”としながらも、こう続ける。
「ウイルスに直接働きかけるので、インフルエンザ患者が紅茶を飲むことで、その人から集団への感染を防止する効果も期待できるでしょう」