感染リスク抑制も 歯科衛生士教える「1回1分の正しい舌みがき」

毎日歯みがきはしているけれど、舌もきちんとケアしているという人は多くない。けれども、じつは舌の掃除こそ、感染症を予防するためのカギなのだーー。

 

新型コロナウイルスの感染拡大が続くなか、少しでも感染予防につながる方法を求めている人は多いだろう。歯科衛生士として50年以上のキャリアを持つ、「歯科衛生士事務所ピュアとやま」の精田紀代美代表は「舌をみがくことが感染症の予防にも有効だ」と話す。

 

精田さんが舌の掃除に着目するようになったのは10年ほど前。介護施設で口腔ケアの研修をするようになったとき、舌みがきの指導を始めるとその効果は絶大だった。

 

「自分の歯が数本しか残っていない高齢者の人たちが、舌を掃除するようになって1カ月もすると、『歯のグラグラが止まった』という声を、あちこちで聞くようになったのです。それまで40年にわたって歯科衛生士をしていて、舌をみがくことで歯周病が改善したという話を聞いたのは初めてでした。以来、各方面で積極的に舌みがきを推奨するようになったのです」(精田さん・以下同)

 

舌みがきの効果はほかにもあった。精田さんが4年ほど舌みがきを徹底した施設で、誤嚥性肺炎とインフルエンザの発生件数がなんとゼロになったのだ。

 

「舌をきれいにすることで、高齢者の方の唾液がサラサラになったのです。それが感染症や誤嚥性肺炎の予防につながったようです」

 

唾液がインフルエンザや誤嚥性肺炎の予防に関係していることは、医学的にも解明されている。唾液にはIgAという抗菌物質が含まれている。唾液の分泌量が多いほど、IgAも多い。ネバネバではなく、サラサラした唾液が十分に分泌されることで、ウイルスや毒素が体内で感染症を起こすリスクを下げてくれるのだ。

 

「運動不足も唾液の質を低下させる原因のひとつ。どうしても自宅で過ごす時間が長くなっている今は、ふだん以上に口腔ケアに気をつけてほしいです」

 

ウイルス感染を防ぎ、口腔を健康に保てるとあれば、ぜひ舌の掃除を取り入れたいところ。精田さんに舌みがきのやり方を解説してもらった。まずは舌をみがく道具を選ぶところから。

 

「舌をみがく道具には、主にブラシ系、金属系、シリコン系の3種類があります。ブラシ系はナイロンの毛先が舌のひだの間に入って、舌を傷つけてしまいます。金属のものはやや価格が高く、日常のケアには向かないので除外しました。私が最適だと考えるのは、先にボツボツと突起のある、シリコン系のタンクリーナーです。ドラッグストアなどで手軽に入手できるものです」

 

■舌みがきのやり方

 

【1】舌の上面

舌の真ん中の少し奥にタンクリーナーを押し当て、そのまま舌の先までゆっくりと動かす。1回ごとにタンクリーナーは水で洗う。これを3回行う。

 

【2】舌の側面

舌の右側の付け根にタンクリーナーを押し当て、舌の先までゆっくりと動かす。1回ごとにタンクリーナーは水で洗う。舌の左側も同様に、それぞれ2回ずつ行う。

 

「2回、3回とかき出すと、舌の奥のほうからヌルヌルしたものがとれてきます。これが口臭の原因にもなっている歯周病菌の塊です。注意してほしいのは、舌はとてもデリケートなので、やりすぎは決してよくありません。1回1分の舌みがきを、週に2〜3回行う程度で十分です」

 

舌みがきを行う時間帯として、精田さんがおすすめするのは朝。

 

「1日の始まりに舌を掃除することで、歯周病菌を排除できますし、サラサラの健康な唾液にしてから食事をとると、その日1日を健康に過ごすことができるでしょう」

 

「女性自身」2020年5月5日号 掲載

関連カテゴリー: