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健康に関する情報を発信する「ウーマンウェルネス研究会」が昨年7月に男女882人を対象に行った調査によると、新型コロナウイルスの感染拡大後、約63.2%もの人が「睡眠の質が悪い」と感じていることが判明した。

 

「自粛生活で運動不足になった、睡眠のリズムが崩れた、先行きの見えない不安によるストレスなどが大きな要因と考えられます」

 

そう語るのは、睡眠コンサルタントの友野なおさん。コロナ感染が広がる今、免疫力を低下させる睡眠不足はぜひとも解消しておきたい悩みだ。

 

そのような状況の中、海外のSNSを中心に話題になっているのが眠りの質を高めるという「ムーンミルク」。ホットミルクにスパイスやハーブを溶かしたもので、寝る前に飲むのだという。

 

「確かに、温かいものを飲むと、入眠モードに入りやすくなります。通常、脳や内臓、筋肉などの温度である深部体温が下がると眠気が起きます。温かいものを飲むと体が温まり血流が促されて体内の熱が放出されやすくなり、深部体温が低下。その結果寝付きがよくなるのです」(友野さん)

 

ムーンミルクのもとになったとされるのはインドの伝統医学であるアーユルヴェーダの「ターメリックミルク」。月を想起させるような黄色で、リラックスしたいときや寝る前に飲むのが定番だという。

 

そこで、アーユルヴェーダの考えをベースに食事や生活習慣の改善を提案する「eatreat.」の小林静香さんに、不眠タイプに合わせたムーンミルクのレシピを教えてもらった。

 

「アーユルヴェーダでは人の体質を大きくPitta(ピッタ)、Vata(ヴァータ)、Kapha(カパ)の3つに分類します。そのうち不眠に陥りやすいといわれているのはPittaとVata。Pittaは、エネルギッシュで、考え事が多いタイプ。責任感が強く、家事や仕事を頑張るあまり、興奮して寝付けなくなりがち。Vataは、神経がこまやかで、冷え性の人が多いタイプ。不安やストレスがあると眠りが浅くなり、夜中に何度も目が覚めてしまうこともあります」

 

まずは、次のチェックリストで自身の不眠タイプを確認しよう。当てはまる項目をチェックして、多く該当するほうのミルクを試してみよう。

 

【Pittaタイプ】更年期症状やストレスによる興奮が原因で寝付けない

□ のぼせやほてりがある
□ 考え事などでなかなか眠れない
□ もともと睡眠時間が短い

 

【Vataタイプ】冷え、不安や消化不良が原因で眠りの質が悪い

□ 夜中に何度も起きてしまう
□ 寝ても疲れが取れず二度寝してしまう
□ 夢をよく見る

 

■Pittaタイプ向け「寝付きをよくする」ミルクレシピ

 

【シャタワリのムーンミルク】更年期症状を和らげる

「100人の夫を持つ女」という異名を持つシャタワリはアーユルヴェーダを代表する女性のためのハーブ。自律神経や女性ホルモンのバランスを整え、更年期の不調を和らげることで入眠しやすくなる。※筋腫がある方のみ、控えたほうがいいので注意。

 

〈材料〉ムーンミルクのレシピはすべてマグカップ1杯分

ミルク…200ml
シャタワリ…3つまみ

 

〈作り方〉

(1)材料を鍋に入れ中火にかける
(2)沸いたら弱火に落とし、2分ほど煮る

 

【ターメリックとカカオニブとギーのムーンミルク】ストレスや興奮を鎮める

ターメリックとカカオニブの香りが興奮を鎮め、眠りにつきやすく。ストレスにより疲労した肝臓をいたわるターメリックと、腸内環境を整えるギーの力で、睡眠の質も上がる万能ミルク。

 

〈材料〉

ミルク…200ml
ターメリック…小さじ1/2
カカオニブ…適量
ギー…小さじ1
※カカオニブはカカオ70%以上のチョコレートに替えてもよい

 

〈作り方〉

(1)ミルクを鍋に入れ縁がふつふつとするまで温める
(2)カップに移し、ターメリックとギーをよく溶いたらカカオニブを入れる

 

〈ギーの作り方〉

(1)鍋・ボウル・保存容器の水分をしっかりふき取る
(2)中弱火で無塩バターを溶かす(200g以上が作りやすい)
(3)バターが溶けたら弱火に落とす
(4)白くてふわふわしたアクがでてきたら、その部分をとり、そのまま煮詰める
(5)細かい泡が、表面全体を占めるようになったら鍋の側面が少し焦げたくらいで火を止める。焦げすぎないように注意
(6)ボウルとざるを重ね、ざるにキッチンペーパーを敷いてこす
(7)保存容器に詰め替えて使用。常温で7日保存可能

 

■Vataタイプ向け「眠りの質を上げる」ミルクレシピ

 

【ホーリーバジルとフェンネルのムーンミルク】不安感を軽減する

自律神経の働きを整えてくれるといわれるホーリーバジル。香りにはリラックス作用があり、不安感を和らげてくれる。さらに整腸作用の高いフェンネルで消化を整え、睡眠の質をアップ。

 

〈材料〉

ミルク…200ml
ホーリーバジル…3つまみ
フェンネル…1つまみ
※ホーリーバジルは手に入りやすいティーバッグのものをミルクとともに温めてもOK

 

〈作り方〉

(1)材料を鍋に入れ中火にかける
(2)沸いたら弱火に落とし、2分ほど煮る

 

【シナモンとカルダモンのムーンミルク】血行と消化を促進する

シナモンの血行促進効果により体温が上昇し、眠りにつきやすくなる。また、カルダモンがミルクを消化しやすくすることで、睡眠時の胃腸の負担が減少。眠りの質を上げてくれる。

 

〈材料〉

ミルク…200ml
シナモンスティック…3cm
カルダモン…1粒
※シナモンパウダー…2g、カルダモンパウダー…1gに替えてもよい

 

〈作り方〉

(1)材料を鍋に入れ中火にかける
(2)沸いたら弱火に落とし、2分ほど煮る

 

「神経が高ぶって眠りにつきにくいPittaタイプは『ターメリック』や『カカオニブ』などの気持ちを鎮めるスパイスを、ミルクに加えるのがよいでしょう。とくに『シャタワリ』には、女性ホルモンのバランスを整える作用があり、更年期によるほてりや神経の高ぶりを鎮めるだけでなく、妊活中や生理不順に悩む方にもよいとされる」

 

小林さんによると、ムーンミルクは「ギー」と呼ばれる“万能オイル”と相性がいいという。

 

「ギーは、バターの水分とタンパク質を飛ばしてできるオイルのこと。消化をよくし、ハーブやスパイスの効果を高める性質があります」

 

ギーは、大型スーパーや輸入食品店などで手に入るが、無塩バターを煮詰めて作ることもできる。

 

「眠りの質を高めたいVataタイプにおすすめなのは、胃腸薬にも使われ、整腸作用のある『フェンネル』。消化をよくすることで、眠りの質が高まると考えられます。また、カルダモンにも消化を助ける働きがあるので、ほかのミルクレシピに一粒加えるのもおすすめです」

 

前出の友野さんも、睡眠の質には消化が大きく関係すると語る。

 

「食後すぐなど、消化器官が活発に動いているときは、深部体温が高く、眠りの質が低下します」

 

寝る前に消化をよくするスパイスを取り入れ、消化器の負担を減らすことで快眠が期待できるのだ。

 

スパイスやハーブは大型スーパーもしくはネット通販などで手に入れることができる。スティックやホール状のもののほうが香りや効果は強いが、使いやすい粉末状のもので作ってもよい。就寝前に、マグカップ1杯(200ml)程度を飲むのがおすすめだ。

 

悩みに合わせたムーンミルクをまずは3日間試してみよう!

 

「女性自身」2021年2月9日号 掲載

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