腸内のガスが排出されずにたまってしまうガス腹。ビオフェルミン製薬株式会社が’19年に実施した調査によると、女性の約3割が日常的な“腹部膨満感”に悩まされているという。ガスがたまると、おなかの張りや腹痛などのほか、人前でおならが出てしまうなどの悩みも引き起こす。なぜおなかにガスがたまってしまうのか?
「ガスは、腸内細菌が食べ物を分解するときに発生するものです。50歳ごろからは多くの人の腸内で悪玉菌が増加します。悪玉菌が増えるとガスが増え、おなかの張りをつくるのです。さらに、悪玉菌がつくるガスは臭いため、臭いに悩まされることも多くなります」
そう語るのは「さく病院」胃腸内科医の相馬渉先生だ。腸内環境の悪化以外にも、ガスがたまる要因があるという。
「便秘によりたまった便がガスの排出を妨害して、ガスがたまってしまうこともあります。また“胃酸を抑える薬”を飲んでいる人もガス腹になりやすい。胃酸には殺菌効果があるのですが、その分泌量が減ることで、腸内で細菌が大量に増えてガスが異常発生してしまうのです」
ガス腹解消のために、ヨーグルトを食べている人も多いがーー。
「ヨーグルトをはじめ発酵食品や食物繊維は、腸内環境が悪くない人にとっては、腸内環境を整えてくれる働きがあります。しかし、腸内環境が悪化している人では、これらの整腸食が、ガスを発生させてしまう場合があるんです。いわゆる整腸食は、FODMAP(フォドマップ)という糖質を含みます。FODMAPとは小腸で消化吸収されずに、大腸で発酵性を持つ糖質のこと。ヨーグルト、豆やりんご、小麦食品などに含まれます。FODMAPは腸内細菌の大好物であるため、大量のガスを発生させる原因になるのです」
特に、ガス腹の原因の1つであるSIBO(シーボ・小腸内細菌異常増殖症)が疑われる場合、FODMAP食品は逆効果になりやすい。
「SIBOは、本来細菌があまり生息しない小腸内で、細菌が異常繁殖してしまう病気です。増殖した細菌がガスを発生させ、小腸をパンパンにします。小腸はそもそもガスに耐えられる構造になっていないので、つらいおなかの張り、腹痛や吐き気を引き起こします。FODMAP食品は、小腸内の細菌の餌にもなるので、ガス腹を悪化させるのです」
ヨーグルトなどのFODMAP食品を食べても、ガス腹がよくならないという人は、いったんそれらの食品を控えてみるのも手だ。また、最新の研究では乳酸菌よりも「乳酸菌がつくり出す物質」に着目した第3の腸活「バイオジェニックス」が注目されているという。
「ヨーグルトがダメという人はこれらのサプリメントなどを試してみるのもいいかもしれません」