漢方×栄養学の観点で、あなたの健康においしくアプローチ! 夏は水分が抜けて、体がぐったりしてしまうもの。少しでも元気に過ごしたいあなたに、いまから取り組める、簡単毎日食薬メニューを専門家がご紹介しますーー。
「“旬”の食材を選んで食べますと、元気を取り戻すことができます。反対に体によくないものは食べない。この考えを『食薬』と呼んでいます。夏は冷たいものを取りすぎないようにするなど、腸を冷やさないようにしましょう」
そう話すのは、『1週間に1つずつ 心がバテない食薬習慣』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の著者で、漢方カウンセラーの大久保愛さん。大久保さんは年間2,000人以上、体の不調に悩む人の相談を受けていて、体がバテないようにするための「食薬習慣」を勧めている。
体のバテを防ぐためにいちばん簡単なのは、「旬の栄養価の高い食材を選んで食べる」こと。毎日積み重ねると、薬に負けないほどの威力を発揮するという。そこで、梅雨の末期から、猛暑の時期に備えるための「食薬」メニューを教えてもらった。
■塩昆布キャベツサラダ
紫外線を浴びる夏の時期は、肌トラブルも起こしやすい。
「高温多湿で皮脂の分泌が増えるこの時期に食べすぎますと、胃腸の負担となり、吹き出物やニキビができやすくなります。消化を助ける食材を中心に取るのならキャベツがいいでしょう。キャベツに含まれるビタミンUとキャベジンが胃腸の働きを助けてくれます。また、吹き出物などの炎症を抑えるスルフォラファンと抗酸化作用の高いビタミンCもたくさん含まれます」(大久保さん・以下同)
ドレッシングをかけたくなるが、油分を取りすぎてしまうので、塩昆布ひとつまみを千切りキャベツにトッピング。簡単なひと手間で、おいしく手軽に、汗で失われた塩分とミネラル、鉄分などを昆布から補給できる。
■しらすメカブあえ
梅雨の終わりから梅雨明けの時期、猛暑に立ち向かうための体を作らなければならない。
「夏バテで嗜好品を偏食したり、無理なダイエットで栄養状態が悪かったりする人は、暑さの本番、8月を乗り切れません。ミネラルをしっかり取れる、しらすとメカブといった海藻類を食べましょう。しらすは歯や骨の形成に必要なカルシウムとビタミンDが豊富に含まれています。メカブはネバネバ成分のフコイダンやアルギン酸といった水溶性食物繊維が腸内環境を整え、免疫力をサポートします。さらに、血圧や血糖値、コレステロール値を安定させる効果もあるので、毎日食べるのをおすすめします」
作り方も、2つの食材をあえるだけなので、手間も時間もかからない。
■タコとオリーブオイルのアヒージョ
タンパク質を積極的に取りたいときは、なるべく脂質が少ない魚介類から取るのがベスト。
「特にタコは高タンパク、低脂質、低カロリーのうえ、疲れに効くタウリンが豊富で、肝臓の機能改善にも役立ちます。また、肌の新陳代謝を整えるビタミンB群やビタミンA、亜鉛なども多く含まれるので、サプリメントのような食材です。しかも、どの料理とも相性がいい食材なので、サラダや煮物、スープでも何でも合います。おなかを冷やさないためにも、胃もたれしづらいオリーブオイルと、にんにくで煮込む『アヒージョ』で食べるのがいいでしょう」
オリーブオイルに含まれるオレイン酸は、大腸内で潤滑油のような働きをするので便秘解消にも役立つ。さらに、悪玉コレステロールを減らして、高血圧や動脈硬化などの生活習慣病を予防する効果も期待できる。簡単調理で栄養満点。主菜にぴったりの一品。
まずは1日1食、菓子パンやカップ麺で済ませがちなお昼のメニューに、1品プラスすることからスタートしてみよう。