■バリアフリー工事を自分で行った
ひで子さんが骨粗しょう症による圧迫骨折で歩けなくなり、要介護4と認定されたのは14年秋。その後、認知症も患った。
「すぐに手配したのが、介護ベッド、防水加工されたマットレスカバー、ベッドの上で食事するためのテーブル、車椅子、玄関の段差をなくすためのスロープです。レンタル料は月3,000~4,000円ほどで、母が亡くなるまでレンタルしていました」
おむつは行政から、毎月1パックを無料で支給されたが、それではとても足りず、最低5,000円分くらいは必要だった。
「やる以上はしっかりやりたいので、おむつフィッターの資格を取るために、1泊2日の研修を受けました」
しばらくは週2回の訪問のリハビリと週1回の入浴サービス(1カ月4,000~7,000円ほど、自己負担額、以下同)を利用していたが、症状が落ち着くと、訪問リハビリと入浴サービスをやめ、週2回のデイサービスに。
「デイサービスは、約5年続けました。月に何度かはサボっていたので、1カ月の費用は7,000円ほどでしたね」
ひで子さんの自室は畳なので、車椅子の移動も難しく、リフォームすることにした。
「バリアフリー工事などは、自治体から補助もありますが、私は複雑な申請が苦手なんです。だったら自分でやればいいと、近所のホームセンターに行きました」
畳を外して断熱材を敷き、高さを確保するためにベニヤ板を重ね、タイルカーペットを敷き詰めた。
「材料代は2万5,000円ほどで、工賃はタダ。隙間ができたり、イビツになるのも、“ハンドメイドの味”です(笑)」
亡くなる半年前も、週2回のデイサービスを、訪問看護に切り替えた(入浴サービスは再開)。
さらに車椅子の母が病院などに行く際には、ストレッチャー付きの介護タクシーが1回1万円、亡くなる前の数カ月間は、1回6,000円の訪問医療費用が別途かかったという。
「在宅介護は大変でしたが、母の喜ぶ顔がモチベーションになりました。最期、声にならない声で『ありがとぉ』と言ってくれたことで“後悔のない介護ができた”と実感できました」