今、急増している大人の果物アレルギー。ある日いきなり発症し、命に関わることもあるから注意が必要です。どんな人がなりやすいのか、専門医に聞きました――。
「大人の食物アレルギー疾患は、10年前と比べたら間違いなく増えています。なかでも、受診に来られる患者さんの原因食物で多いのが果物と野菜。次に小麦、甲殻類です。とくに女性の患者さんの“果物アレルギー”は多いですね」
このように語るのは、食物アレルギーに詳しい、国立病院機構相模原病院・臨床研究センターの福冨友馬医師。
“りんごを食べたら急に喉がかゆくなった”“ももを食べたら唇がどんどん腫れてきた”……。これまで果物を食べても何ともなかったのに、突然このような食物アレルギーを発症する大人たちが、近年急増しているという。
なかでも果物アレルギーが多いというのは、一体なぜなのか?
「原因のほとんどが花粉症です。果物や野菜には、花粉症の原因となるアレルゲンと構造が似ているアレルゲンが存在します。ヒトの免疫細胞は、構造が似ているアレルゲンを区別できません。そのため、花粉症の人が果物や野菜を食べると、アレルギー反応を起こす場合があります。特に“カバノキ科”の花粉は、りんごやももなどバラ科の果物のアレルゲンと構造が似ているのでカバノキ科花粉症の人は注意が必要です」(福冨医師・以下同)
花粉症といえば、一般的にスギやヒノキを連想しがちだが、あまり耳慣れないカバノキ科の花粉症の患者も、じつは多いのだという。
カバノキ科の植物として有名なのは、ハンノキ、オオバヤシャブシ、シラカンバなど。ハンノキは、公園や緑地、湿地帯などでよく見られる樹木。オオバヤシャブシは、温暖な地方の造成地に広く植栽され、シラカンバは、北海道や東北地方などに多く自生している。