■花粉症の人が増えると果物アレルギーも増える
20年以上前、兵庫県の六甲山系の宅地や道路に、大量にオオバヤシャブシが植栽され、周辺地域の住民が花粉症、果物アレルギーを発症したことがあった。その後、一部の地区ではオオバヤシャブシを伐採。アレルギー患者は減少したという。
「カバノキ科の花粉症の患者さんは自宅の近く、あるいは学校や職場といった生活エリア内に、緑地があることが多いようです。そこから毎年花粉が飛散し、ある年に果物アレルギーが発症。カバノキ科のほかにも、草の花粉のイネ科、キク科のブタクサ、ヨモギなどの花粉症が原因で発症する人もいます」
花粉によって、アレルギー反応を起こす果物は異なる。花粉症ごとにアレルギーを起こしやすい果物と野菜は次のとおり。
【花粉別・アレルギーを起こす食品例】※福冨友馬医師の著書『大人の食物アレルギー』(集英社新書)をもとに本誌が作成
〈カバノキ科〉
原因の花粉:ハンノキ、オオバヤシャブシ、シラカンバ
食品:バラ科果物(りんご、もも、なし、さくらんぼ、いちご、プラム)、 ヘーゼルナッツ、マメ科(大豆、ピーナツ)、セリ科(にんじん、セロリ)
〈草の花粉〉
原因の花粉:イネ科、ブタクサ、ヨモギ
食品:ウリ科(メロン、すいか、きゅうり)、トマト、オレンジ、バナナ、アボカド
〈ヒノキ科〉
原因の花粉:スギ、ヒノキ
食品:バラ科果物、柑橘系果物、梅干し
日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会の調査(’19年)によると、花粉症の有病率は10年単位で増えている。つまり、花粉症の患者が増加していることに伴い、果物アレルギー患者も増え続けていると考えられる。