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つい乱れてしまいがちな睡眠時間。しかし、それが常態化すると、なんと体形の乱れにもつながることに。太りたくないのなら、食事・運動の前に、まず快眠を心がけようーー。

 

「ダイエットのために食事を工夫する、運動を取り入れるなどの取り組みをしても、長続きせずに断念してしまう人は多いでしょう。じつは、海外では“毎日の睡眠をしっかりととるだけ”で体形維持につながるという効果を示唆する研究結果がいくつもあります。ところが、’13年の全米睡眠財団の調査によると、アメリカ・カナダ・メキシコ・イギリス・ドイツの人に比べ、日本人の睡眠時間はもっとも少なく平均で6時間22分。日本では、睡眠時間を削ってまで家事や仕事などをするのが美徳とされる部分もあるためでしょう」

 

こう語るのは、アメリカのボストン在住の内科医・大西睦子さんだ。大西さんは、今年の4月に米国心臓病学会が発行する『Journal of the American College of Cardiology』に掲載された論文に注目しているという。

 

「ワールド・ベスト・ホスピタル1位にも選出されたことのある、全米トップクラスの病院『メイヨー・クリニック』の研究者たちは、『9時間睡眠』と『4時間睡眠』の2グループにそれぞれ2回の入院期間を設けて、摂取エネルギーや消費エネルギー、体重、内臓脂肪などを細かく記録しました。その結果『9時間睡眠』と比べ、『4時間睡眠』のグループは、摂取しているタンパク質が13%、脂肪が17%増加しており、1日あたり約300キロカロリーも過食の傾向にあることがわかったのです」

 

さらに被験者の腹部をCTスキャンで検査すると、内臓脂肪にも影響が。

 

「『9時間睡眠』のグループには腹部の脂肪面積・内臓脂肪面積に変化がなかったいっぽう、『4時間睡眠』のグループは、それぞれ9%、11%も増えていました。主任研究者のサマーズ博士は『睡眠時間が短いと、著しく腹部の脂肪蓄積が増える』と考察しています」

 

睡眠不足の人は起きている時間が長いぶん、食べる量が増えるとも考えられるが、肥満を招くのはそれだけが原因ではないそうだ。

 

「じつは、寝不足が原因で、ホルモンのバランスが乱れます。’04年にシカゴ大学で行われた研究では、睡眠が不足していると、満腹を感じる『レプチン』というホルモンが18%も減少し、反対に空腹を感じる『グレリン』というホルモンが28%も上昇しました。すなわち、寝不足が空腹感や食欲を増進させてしまうのです」

 

これとは反対に、快眠によって“やせホルモン”の分泌が促されると語るのは、『ダイエット外来の寝るだけダイエット「痩せホルモン」を分泌させる睡眠法』(経済界)の著書もある肥満外来の専門医・左藤桂子さんだ。

 

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