■信頼できる医師を見つけることが大切
発症してしまった場合、まずは精神科や心療内科を受診し、自分に合った治療法を見つけることが肝心だ。
IKKOさんの場合は、自分と相性のよい医師がいる心療内科に通うほか、自律神経を整えるはり治療に3年間毎日通ったという。自分に合う医師を見つけることが特に大切だとIKKOさん。
「私が話す前にいろいろ言ってくる先生よりも、まずじっくり話を聞いてくれる先生のほうがよかったですね。
仕事のやり方も変えました。弟子に任せられるものは任せて、1日働いたら1日か2日休んで頭を無にするようにしたんです。焦って中途半端に治療しても時は流れていくから。焦っちゃダメ、と何度も自分に言い聞かせてね」
みずからこんな工夫もした。
「発作が起きそうになると、韓流ドラマを見たり、音楽を聴いたり、“大好きなこと”に集中すると症状が少し和らぐんです」
“笑門来福”などの文字を書いて家中に貼ることで、自己暗示をかける方法も効果的だったという。
「食事と一緒に福を取り込めるように、キッチンには“福”の文字を。災いはすべて水に流してたくさん笑えるように、トイレには“笑門”。穏やかに、焦らずいられるように“川の流れのように”の書を階段に。信頼する主治医にも“大丈夫”と書いてもらって、その紙を持ち歩いていました」
手の震えなど、発作が出そうになったら、そのメモを見て心を落ち着かせていたという。
このように“パニック障害が起きても大丈夫”と安心できる、“お守り”があることは不安を解消するのに効果的だ。
影森先生も、発症はしていないが不安で仕方ないというときや、パニック障害の発作が起きそうだという場合には、上の図のような“お守りツボ”や“おもち呼吸法”などのセルフケアを行うことを推奨している。
最後にIKKOさんが、パニック障害に悩む読者にこうアドバイスしてくれた。
「無理していると感じたら、頭を空っぽにして休むことが大切。体を温めて、深呼吸をして、好きなものに囲まれてリラックスしてください。
少しよくなったらウオーキングなどの運動をするのもいいですよ。これまでがんばってきたんだから、いまは休憩のとき。大丈夫、大丈夫。必ず、また歩み出せますから!」