■いきなり体がほてって変な汗が大量に出るように
小島:まさに。更年期でも症状のある人とほとんどない人がいて。生活に支障をきたすほどの症状があれば、“更年期障害”となる。更年期=みんな更年期障害で苦しむというわけではないんですよね。
有森:そう。何が問題かというと、私たちが更年期について今まで学ぶ機会がなかったこと。女性も男性も、ホルモンが体の機能にどう影響を与えるかについて、教育で早くから学ぶべきだと思います。
小島:夫と息子2人はいまオーストラリアで暮らしていますが、向こうは性教育は男女一緒に、生理はもちろん、勃起したときにコンドームをどうつけるかまで習うんです。
有森:すごく大事です。
小島:先日も大学生の長男が、アルバイト先で一緒に働く50代の女性から「私、メノポーズ(更年期)で調子悪いからメンタル落ちてるときもあってごめんね」と話をされた、と話してくれました。
有森:女性が「更年期で不調」と言えて、息子さんも自然に受け止められるのは素敵な関係ですね。そうして家族でも更年期について話せるのが理想です。
有森さんに更年期の症状が出たのは7年前、48歳のときだった。
有森:離婚し人生の転換期も重なり、気持ちの浮き沈みが激しくなっていたころ、いきなり体がほてって変な汗が大量に出るようになりました。イライラすることも多く、テレビドラマを見て怒ったり。仕事ではニコニコできても自分には厳しいので、「完璧にできないし、怠けている。努力していない」と自分を責め続けていましたね。
小島:それはつらいですよね。更年期だとわかったきっかけは?
有森:悩み始めて3年たったころ、同じ講演会で更年期をテーマに登壇された婦人科の対馬ルリ子先生のお話を舞台裏で聞いて、更年期の体の仕組みや不調についての内容が「全部、私だ」と目からうろこ。「更年期なんだ!」と気づけた途端、安堵してその場で涙ぐんでいました。
有森さんは、後日、対馬先生のクリニックに行くことになった。
有森:お話を聞いていただき、「ホルモンを調べましょう」と。検査結果から更年期とわかって、すぐピルを処方してもらいました。それまで自分の症状がホットフラッシュであることも、知らなかったんです。
小島:症状は治まりました?
有森:あれだけつらかったのぼせや汗の症状が、劇的に治まってびっくりしました。症状が解消されたうれしさと同時に、なんでこの情報を知らなかったんだ! と腹がたった(笑)。更年期に起こることや対処法を知っていたら、私を含め多くの人が、自分を責め続けて疲弊することもない。だからこそ、自分の経験を語り、更年期について皆さんに知ってほしいと思っているんです。