【5】早足で歩くと止まってしまう人は「動脈硬化」の疑い
15分ほど歩くとふくらはぎなどに痛みが出て歩けなくなってしまうのは、動脈硬化で血流が悪くなる閉塞性動脈硬化症のサイン。休むと筋肉の疲労が改善して歩けるが、動脈硬化の進行とともに症状は強くなる。
【6】すり足歩きは「脊柱管狭窄症」の疑い
背骨にある、神経の束が通る脊柱管が変形し神経が圧迫される脊柱管狭窄症になると、手足がしびれ、両足が重く、力が入りづらくなる。痛みはあまりないが、しばらく歩くと平地でも足がだるく上がらなくなるため、すり足歩きに。座ると改善する。
【7】壁伝いに歩く人は「サルコペニア」の疑い
80代は筋肉量・筋力も20代の60%に低下し、サルコペニアになることが。歩くのが遅くなり、家の中で壁を伝って歩くのは、このサイン。立ち上がるときや階段の昇降に手すり、外出時は歩行器が必要となることも。
「歩き方から脳腫瘍や水頭症、パーキンソン病といった脳疾患が疑われるようなら、脳神経外科や、脳神経内科を受診し検査を。頭痛がある場合も同様です。パーキンソン病は、50~60代の発症が多く、早期発見すれば薬物治療でコントロールできる病気ですし、リハビリテーションで、ある程度症状を改善させられます」
歩くと膝や股関節に痛みを感じるときは整形外科を受診しよう。
「50代以降に増加する、変形性股関節症・膝関節症などは、特定の部位が痛みます」
動脈硬化のサインが現れている人は、循環器内科、心臓血管外科へ。
加齢により、筋肉量と筋力が低下するサルコペニアが疑われる歩き方にも気をつけたい。
「久しぶりに帰省したら、高齢の親が壁を伝って歩いていた、足が細くなっていた、ということもあるでしょう。これは、要介護の一歩手前の状態。サルコペニアの可能性があります」
なかには、“ちゃんと歩いているつもり”という人もいるので、周囲の気付きが大切だ。
「ご自身や家族の歩き方が、ふだんと違っていると思うことはありませんか? 早めに歩き方の違和感に気づいて検査を受けることで、病気を早期発見でき、健康寿命を延ばすことにつながるのです」
また、注意が必要なのは高齢者だけではない。
「50代はまだまだ元気な人が多い世代。その分、脳や血管の病気の初期症状に気づきにくい。定期的な健康診断に加え、歩き方もチェックしてみましょう」