米大学の研究で判明「嗅覚の衰えが認知症の予兆である可能性」
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■においの変化で“認知症の芽”を早期発見

 

嗅覚低下は脳の異常を知らせるサインだが、それに気づかないケースが多いという。

 

「視力や聴力が低下した場合、新聞の字がかすんだりテレビの音が聞こえづらくなったりと日常生活が不便になり、すぐに自覚することができます。しかし、においはふだんから意識することが少ないため、嗅覚が鈍くなっても気づきにくいのです。同じにおいを嗅ぎ続けていると慣れてしまい、そのにおいを感じなくなったり、非常に弱く感じたりするように、においに対して順応性があることも嗅覚の衰えを自覚しにくい要因です」

 

嗅覚が低下したことがわからないまま認知症に……。それを防ぐためには、まずは次のチェックシートで、嗅ぐ力が保たれているかどうかを確認しよう。

 

□ カレーのにおいが今までと違うように感じる
□ いつものコーヒーを薄く感じる
□ 食事をまずいと思うことが増えた
□「料理の味つけを変えた?」と言われた
□ 腐っている食べ物に気がつかないことがある
□ 鍋を焦がしても気がつかないことがある
□ トイレのにおいが気にならなくなった
□ 香水が強くなったと言われる
□ 鼻が詰まり気味だ

※1つでもあてはまれば、嗅覚低下が疑われる

 

■嗅覚神経細胞の刺激が脳を活性化

 

「自分では気づかないにおいの変化を他人から指摘されても『気のせい』と軽く考えないようにしましょう。いつも食べている食材や飲み物の香りや味がわかりづらくなったときに『思い過ごし』と片付けないようにすることが大切。とくに小さいころから誰もが食べてきたカレーのにおいはいろんな記憶を呼び起こします。これまでと違うと感じるようになったら嗅覚の低下を疑ってください」

 

認知症の予防には、嗅覚の状況をいち早く把握することが大切だ。

 

「治療薬が開発されていない認知症を根本的に治すことはできません。しかし、嗅覚低下が同じように起こる軽度認知障害の段階ならば、運動や社会活動などで症状を止めて回復することも可能です。認知症の芽である軽度認知障害の早期発見が重要なのです」

 

たとえ嗅覚が低下していたとしても、回復することは可能。

 

「嗅覚にかかわる嗅神経細胞は死滅と再生を繰り返しますが、においの刺激を与えなければ、死滅が加速して細胞が減少し、においを嗅ぐ力も失ってしまいます。しかし、においを嗅ぐ機会を増やすことで、嗅神経細胞の再生が活性化します。嗅覚に刺激を与えることで、脳の神経細胞の血流を増やし、脳が活性化することも期待できます」

 

そこで認知症を防ぐ効果的な「鼻トレ習慣」を三輪先生に教えてもらった。

 

「漂うにおいを“楽しむ”よりも積極的に“嗅ぎ取る”姿勢が大切です。食事のときや散歩で花を見つけたときも『これは○○のにおいだ』と認識しながらにおいを嗅ぐことで嗅覚だけでなく脳も刺激されます。また同じにおいを嗅ぎ続けていると鼻が慣れます。台所にあるハーブやスパイスなどの調味料3種類のにおいを10秒ずつ嗅ぐのは手軽で安価に嗅覚低下をおさえる効果があります」

 

“嗅力”を高める習慣で、認知症をしっかり予防しよう!

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