■食事管理は続けることが何よりも大事!
食事でカギとなるのが塩分だ。
「高血圧の元凶はナトリウム(塩分)です。1日の摂取量は6グラム未満にと言われていますが、日本人の摂取量は約10グラムと多いのです。そのため血圧コントロールには、〈1〉減塩、〈2〉排塩、〈3〉血管を大事にする食事、の3つが大切です」(苅尾先生)
高血圧予防や改善のために減塩や運動を心がけている人は多いはず。しかし、「排塩食」が取り入れやすく効果的だと知っている人は少ないだろう。
排塩食とは、体の外に塩分を排出してくれる食事だ。
「取りすぎて体内にたまった塩分を体外に出してくれる栄養が、カリウムです。そもそも高血圧とは、ナトリウム(塩分)とカリウムのバランスが崩れている状態です。そこでカリウムが含まれる食材を食べることでバランスが取れ、血管内の塩分を体外に排出できて、血圧が下がります。それが血管の劣化予防にもなるのです」
もう一つ、水溶性食物繊維も排塩にいいという。
「食物繊維は、腸内の余分な塩分を排出してくれます。特に水溶性食物繊維は、腸内をゆっくり移動し塩分やコレステロールを吸着し排塩してくれるのです」
そこで今回、栄養士の今井真理子さんが、排塩に大事なカリウムと水溶性食物繊維が豊富な「排塩食メニュー」を5つ考案してくれた。
【アボカド・トマト・めかぶのサラダ】
「カリウムが豊富なアボカドに、カリウム+水溶性食物繊維を含むトマト+メカブで排塩に。市販のメカブやモズク酢は、そのままドレッシング代わりになり、海藻が簡単に食べられます」(今井さん)
【ほうれん草と切り干し大根のナムル】
「ほうれん草はカリウムを多く含みます。切り干し大根は、生の大根より食物繊維が水溶性・不溶性ともに2倍になります。どちらもゆでて合わせてナムルでいただきます。ミネラル豊富なごまを仕上げにかけるのもいいです」(今井さん)
【昆布だしと生しいたけのスープ】
「カリウム豊富な昆布と水溶性食物繊維を含む生しいたけでスープに。カリウムと食物繊維が煮汁に溶け出すので、スープごと食べましょう。味噌を入れるとお味噌汁にもなります。根菜のごぼう、さといも、ワカメ、アサリを入れて栄養満点の具だくさんもおすすめ」(今井さん)
【納豆とじゃがいものカレー】
「カリウムを含むじゃがいものカレーに納豆をトッピング。納豆は、カリウムと食物繊維を含み血圧を下げますが、熱に弱いので食べる直前にカレーの上にかけましょう。しめじやほうれん草を入れたり、水の代わりに豆乳を使えば排塩効果アップ」(今井さん)
【豆腐アボカドグラタン】
「カリウムと食物繊維を含む豆腐と水溶性食物繊維も豊富なアボカドでヘルシーなグラタンに。ブロッコリーを加えてもいいです。チーズに塩分があるのでお塩は控えめに」(今井さん)
苅尾先生が勧める食べ方は、「排塩食ファースト」だ。
「排塩料理を食事の前半に食べることで血糖値の上昇が抑制されます。ご飯など炭水化物は最後に食べ、食事には時間をかけましょう。さらに、肥満傾向の人は、夕食のご飯はお茶わんに半分と少なめにすること」(苅尾先生)
もう一つ、効果をアップしてくれるアレンジも。
「すべてのメニューにナッツを加えると、『天然の降圧薬』とよばれるマグネシウムが摂取でき血管を守ってくれます。塩分に気を付け、排塩食を取り入れることで確実に効果は出ます。更年期世代の女性で、薬を使わずに血圧160から130まで下がった人もいましたよ」
大事なのは続けること。ぜひ毎日の献立にプラスしてみよう!
【PROFILE】
苅尾七臣
自治医科大学附属病院循環器センター・センター長。著書に『運動を頑張らなくても血圧がみるみる下がる食べ方大全』(文響社)がある