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「筋力を維持し、『寝たきり』の未来を避けるには、実は女性であってもテストステロンという男性ホルモンが必要です」

 

そう話すのは『老化を「栄養」で食い止める 70歳からの栄養学』(アスコム)の著者で、マイシティクリニック院長の平澤精一先生だ。

 

「女性の健康にはエストロゲンなど女性ホルモンの働きが重要ですが、閉経後、エストロゲンは急激に減少します。いっぽう、男性ホルモンのテストステロンは女性の体にももともとあって、しかも60~65歳くらいまでは減少しません。そのため、中高年以降の女性はテストステロンの影響が強くなるのです」(平澤先生)

 

テストステロンにはどんな働きがあるのだろう。

 

「“社会性ホルモン”といわれるテストステロンは、積極性やリーダーシップ、やる気のもとです。また、骨の強化や筋肉の増強、血管の柔軟性にも関わります。さらに“幸せホルモン”と呼ばれるドーパミンの分泌を促すなど、精神面にも作用します」

 

とても広範囲に影響が及ぶようだが、テストステロンは女性ホルモンと違って減少しないのでは?

 

「女性ホルモンは50代以降急激に減少しますが、テストステロンも、もう少し遅めの65~70歳くらいから徐々に減少してしまいます」

 

テストステロンが減少し不足すると、どうなるのだろう。

 

「まずやる気が起きず、ダラダラしてしまう。急に老け込んで見えるのは、テストステロンの不足が大きな原因です」

 

ほかにも、筋肉量が低下する「サルコペニア」に陥りやすくなる、骨密度が低下して骨粗しょう症になるなど、要介護予備群に近づくそう。動脈硬化も起こりやすく、心筋梗塞や脳梗塞のリスクも高くなるうえ、認知症や老人性うつになる可能性も上がるという。

 

なにより寝たきりや認知症は避けたいところ。テストステロン不足を防ぐにはどうすればいい?

 

「テストステロンに限らず、ホルモンの材料はタンパク質とコレステロールです。これまで『コレステロールの取りすぎはよくない』と敬遠する方が多かったと思います。確かにコレステロールは動脈硬化などの一因であり、すでに動脈硬化が進行中の方は避けねばなりません。ですが、健康な方が過度にコレステロールを制限すると、テストステロンが産生されず、気力や体力の低下を招くことがあります」(平澤先生)

 

コレステロールを取るには?

 

「卵がおすすめです。卵はタンパク質が豊富で、テストステロンの材料であるコレステロールを効率的に摂取できます。そのうえ、食物繊維とビタミンC以外の人間の体にとって必要な栄養素がすべて含まれる『スーパーフード』です」

 

以前、「卵は1日1個まで」といわれたが……。

 

「今では例外はあるものの、体内にたまったコレステロール量と卵には絶対的な相関はないとされています」

 

50代などテストステロンが減少する前からコレステロールを適切に摂取することで、テストステロンの減少時期を遅らせたり、減少速度をゆるめたりできるという。

 

「卵にはコロナ禍などで大切な免疫力を高める亜鉛も豊富です。亜鉛は皮膚や髪などを若々しく保ち、物忘れや認知症などの予防効果もあります。卵には若さの源が詰まっているといえるでしょう」(平澤先生)

 

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