■歌詞を見ないで歌える懐かしい曲がオススメ
認知症の予防や治療にカラオケを活用している南越谷健身会クリニックの周東寛理事長が語る。
「脳の活性化には、適度な緊張とリラックスを繰り返すことが大切です。
患者さんがカラオケで歌う前後での脳波を調べたところ、歌う前は、緊張したりストレスを感じたときなどに発生するベータ波が多かったのですが、歌った直後には、心身がリラックスした状態であることを示すアルファ波が多く見られました。
とくに、歌っている間は、ベータ波とアルファ波が交互に変化。脳波は、脳の神経細胞が情報をやりとりする際の微弱な電気で、カラオケで歌うことで、脳の神経細胞がさかんに情報をやり取りしていることがわかりました」
さらには、こんな効果も。
「認知症予防には感情を込めて歌うことがオススメです。
歌っているうちにうっとりしたり、気分が高揚したりして深い感情がこみ上げてきます。
これは『カラオケハイ』という現象で、脳内には、ドーパミンという神経伝達物質が分泌されています。
ドーパミンは“生きる意欲をつくるホルモン”といわれ、前向きに生きるエネルギーを与えるだけでなく、脳の前頭葉と海馬を活性化することが明らかになっています」(周東先生)
米山先生が呼吸筋の筋トレにもなる歌い方のアドバイスを。
「歌詞ばかり見ながら歌っていては、姿勢が悪くなり呼吸筋を鍛えることはできません。
背筋を伸ばして歌うことがポイント。そのためには新曲でも歌詞を覚えることが必要。
それによりワーキングメモリーという脳機能の維持にもつながります。
また、歌詞を見なくても歌える昔の流行歌や自分にとって懐かしい曲もオススメ。幸せな思い出を振り返らせてくれる曲は、当時を思い出し、やる気が出てくるでしょう」
そこで、この春に歌ってほしい、正しい呼吸を取り戻しながら、認知症予防にもつながることが期待できる曲を紹介する。
「若いときに歌った曲により、ひとつの記憶が糸口になって、思い出が次々とよみがえってくることも。古い記憶を整理して、新しい記憶を作る作業は、回想法という脳を働かせる療法のひとつです」(周東先生)
マイクを握り、呼吸筋を総動員して、レッツ・カラオケ!
画像ページ >【解説あり】認知症を予防する春歌カラオケ5選(他2枚)

