■更年期に体重6kg増は危険!
この半世紀で子宮体がんの罹患者が増えた背景には、食生活の欧米化もあると小室先生は指摘する。
「日本人の食事は昔に比べて圧倒的にカロリー量が増えています。こうした食生活の変化は、糖尿病、高血圧、肥満といった生活習慣病も招いています。カロリー摂取過多によって脂肪が蓄えられると、脂肪組織に含まれる酵素によってエストロゲンが過剰に分泌されることになります」
それが子宮内膜での細胞異型を増殖させる原因になるのだ。
「若いころは呼吸をするだけでもカロリーを消費しますが、中高年になると筋肉量も基礎代謝量も落ちます。若いころと同じような食事をとっていれば、カロリー過多となり体重が増加しやすくなってしまいます。糖質過多にならないように、肥満、糖尿病の予防に努め、適度な運動も大切です」
添付の「子宮体がん 要注意チェックリスト」にもあるように、基礎疾患があったり、BMIが25以上の「肥満」域に入る人は要注意だ。
たとえば平均的な50代日本人女性の身長体重の場合、身長156cmに対し、体重は55.2kgだ。この人が6kg増えて62 kgになるとBMI値25の肥満域に入る。
更年期に入ると基礎代謝も落ち、太りやすくなる傾向があるが、急な体重増には注意したい。
ほかにも子宮体がんのリスク要因として、出産経験がない、初潮が早く閉経が遅い、などが挙げられる。こうした人たちはエストロゲンに暴露される期間が長くなるためだ。
■早期に発見できれば5年生存率は90%以上
「子宮体がんは、子宮筋層が厚いため、がんの進行が比較的ゆっくり進む傾向があります。そのため早期治療で比較的予後がよいがんだといわれています」
治療はステージに応じてだが、ステージ1はがんが子宮体部にとどまっている状態。治療は、子宮全摘+卵管卵巣摘出手術が一般的だが、組織型によっては異なる場合もある。5年生存率は90%以上といわれる。
また、子宮体がんは初期からサインの出やすいがんなので、「子宮体がん 要注意チェックリスト」で簡単な自己診断をしてほしい。3つ以上当てはまったら婦人科の受診を。
最も多いサインが不正出血だ。
「子宮体がんの患者さんの多くが不正出血で来院して検査をしたことで見つかっています。不正出血は軽いおりものからまとまった量の下血までいろいろですが、月経周期以外に出血をしたり、閉経後にも出血をしている場合は不正出血を疑ってみましょう」
ホルモン補充療法で長期間におけるエストロゲンの単独投与もリスク要因のひとつになるという。医師の指示にしたがって適切に補充をしてほしい。
子宮体がんは子宮頸がんと違って一般的な婦人科検診では診られない。不調を感じなくても2年に一度は、婦人科を受診して検査をしてもらうと安心だ。
生活習慣を見直して予防につとめつつ、早期発見・早期治療を心掛けよう。
画像ページ >【チェックリストあり】子宮体がん要注意チェックリスト(他1枚)
