60歳現役医大生の温泉女将に聞いた“寿命を伸ばす”正しい温泉の入浴法3選
画像を見る 「温泉には自律神経を整え、睡眠の質を向上させる」と内藤さん

 

■処方箋(2)「繰り返し入浴で血流アップ」

 

温泉では疲れがとれたり、コリがほぐれたりするというが――。

 

「温泉による温熱作用で筋肉や関節が伸びやすくなります。

 

さらに、薬師湯の調査では温泉には自律神経を整える効果があることがわかりました。血流や呼吸、内臓器官をコントロールする自律神経には、車でいえば交感神経がアクセルで、副交感神経がブレーキの役目をする神経があります。

 

温泉につかることでこの2つの神経が高いレベルで活動することが研究によって判明しています。

 

自律神経が整うと、血流が改善します。酸素と栄養を運ぶ血液が体のすみずみまで届き、筋肉に蓄積した疲労物質や老廃物の排せつを促すといわれています。

 

また温泉に含まれる微量な化学成分が、皮膚を通して体内に入って血管に好影響を与えます。とくに炭酸ガスには毛細血管を拡張させて血流量を増やす働きがあります」

 

自律神経を整えて、血流を改善する入浴術を教えてもらおう。

 

「せっかく温泉に来たからと“元を取ろう”と長時間入ると、逆に自律神経は乱れてしまいます。

 

温泉の泉質や湯温、さらには体調や体質などにより異なりますが、うちの温泉では2?3分ほどつかったら、1度、洗い場で体を休めて、再び“2~3分入る”を繰り返す。おでこにうっすら汗がにじんだら、体の芯までしっかり温まったサインです」

 

血行がよくなると、免疫細胞が体のすみずみまで“見守る”ことができ、がん予防も期待されている。

 

■処方箋(3)「入浴後の休憩でメンタル改善」

 

薬師湯では併設されたカフェがあり、入浴後にゆったり過ごすことでメンタルヘルスが改善するという。

 

「温泉に入るとよく眠れるといわれています。これには深部体温が深く関わっています。脇の下で測る皮膚体温より1~3度高い内臓などの体内の温度が急激に下がると、睡眠の質が向上することがわかっています。

 

温泉につかってしっかり深部体温をしっかり上げておけば、温泉から出ると、体は急いで元の体温に戻そうとして、手や足先の毛細血管を開いて放熱します。そのため深部体温が下がり、良質な眠りを得ることができるのです。

 

入浴後は休憩をすることで、リラックスした気分になり、夜になると、自然な眠りが訪れます。

 

睡眠不足や不眠は生活習慣病や認知症のリスクを高めることが知られており、メンタルヘルスにも悪影響を与えます。

 

入浴後は暴飲暴食などをせずに、自然を満喫したり、おいしい食事を楽しんだり、静かに休めば、メンタルも改善して落ち着いた気分になります」

 

 

温泉に行ってリラックスしても、日常に戻れば温泉の効果も消えてしまうのでは?

 

「1泊や日帰りだけでも温泉の効果があることが最新の研究でわかっています。大事なことは、温泉で心と体が整った状態を知っておくこと。日常生活で心と体が乱れたと感じたら、リラックスした時間を作ったり、深呼吸をしたりするなどして、自律神経を整えることを心がけましょう」

 

最後に、内藤さんの話を参考に自律神経を整える温泉郷を紹介。

 

正しい温泉の入浴法をマスターして、真の健康を手に入れ、長生きを目指そう!

 

画像ページ >【写真あり】湯の花が流れ出て溶岩のように見えるのが湯質の優秀さを表す(他2枚)

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