大量に飛散する花粉が猛威を振るうシーズンに突入したが、じつは鼻や目、のどのほかにも、この時季特有のダメージに注意が必要な器官があるという。
「花粉と共に舞い始めた黄砂は、これから3~4月にかけてピークを迎えます。そこで注意したいのは、黄砂飛来の翌日に、心疾患の発生件数が増えることです」
こう語るのは、米国ボストン在住の内科医・大西睦子さんだ。大西さんが注目する熊本大学などの調査(2017年)では、黄砂が観測された翌日は、観測されなかった日に比べて、急性心筋梗塞の患者が1・46倍多いというデータが見られた。
「黄砂中の粒子成分が影響している可能性があります。日常生活のなかには、こうした心筋梗塞の予防やリスクにつながることが指摘されている習慣があります」
健康長寿をかなえるためには、健康な心臓は不可欠だ。今回は、世界で発表されている最新の論文をもとに、科学的に正しい“心筋梗塞を遠ざける生活習慣”を探ってみた。
【食事編】
まずは、日々の食生活で欠かせない、(1)牛乳に関する論文だ。「中国の浙江中医薬大学の研究者らが2025年に『栄養と代謝』誌に発表した論文によると、牛乳を週1回以上、または毎日など“定期的に飲む”人は、週1回未満の人より心血管疾患(CVD)リスクが有意に低いことが示されました。
詳しい因果関係は不明ですが、牛乳を飲む習慣と心臓病リスクの低さとの関連が確認され、牛乳によって慢性的な炎症が抑制される可能性も示唆されました」(大西さん、以下同)
心筋梗塞リスクを2倍に高めるともいわれる心房細動を予防するヒントは、日本人の食卓に並ぶ(2)納豆にあるかもしれないと、2025年に日本の国立循環器病研究センターが発表している。
30~90歳の男女約5千人を対象に、納豆の摂取量を3種類に分類し調査したところ、女性に限り、納豆を最も食べないグループ(1日平均0g)と比べ、最も食べているグループ(1日平均15.33g)は、心房細動のリスクが56%低かった。納豆は1パック40~50g、つまり3日で1パック食べると、心房細動リスクが半減する可能性があるのだ。
夜の楽しみである(3)ワインに関してのリポートは、スペインのバルセロナ大学が2024年に『ヨーロッパ心臓ジャーナル』誌に発表している。
「1千232人の参加者のデータを解析したところ、ワインを飲まない人に比べ、摂取量が軽度(週1杯~1日半杯未満)の人は、心血管イベント(心血管死・心筋梗塞・脳卒中・心不全)のリスクが38%低下し、中等度(1日半杯~1杯)の人は50%低下していました。いずれも食事中の摂取が前提です」
ところが摂取量が1日1杯超の人は、こうした効果が消失。
「飲みすぎには要注意ということです。さらに予防目的で飲むことも『根拠が十分ではない』とされており、推奨されていません」
