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「言うことを聞かない子供にイライラしたり、つい怒鳴ってしまったり。夏休みは特に、そういうことが増えますね。でも、怒らない子育てなんて無理。だって母親は怒るものですから(笑)。ダメなのは怒ることそのものではなくて、イライラしてしまうことなんです。そしてイライラの本当の理由は、子供ではなく、実は母親自身にあるんですよ」

 

そう話すのは、コミュニケーションコーチとして活躍する「ひろっしゅコーチ」こと山崎洋実さん。「ママのイキイキ応援プログラム」という講座が“大笑いしながら泣いてしまう”と母親たちの間で評判を呼び、満員御礼が続出。日本各地はもちろん、タイ、香港でも講座が開催されるほどの大人気コーチなのだ。

 

「子供にイライラするのは、子供が母親の描く『理想の子供像』から逸脱したとき。それは子供のせいではないのです。子供をコントロールしようとするのをやめれば、イライラがグンと減ります」

 

そして、子供をコントロールしがちな母親の特徴として、「自己肯定感」が低いことが挙げられるという。

 

「自己肯定感とは“私そのものが素晴らしい”と思う力です。日本人はこれが低い人が多いんですよ」

 

確かに、「自分大好き!」と宣言できる日本人は多くない。若年層の調査では、日本人の自己肯定感は世界最低レベルだ。子供のころに褒められることが少ない、日常的にダメ出しする社会であることなどが要因と考えられる。

 

「自己肯定感が高い人は、うまくいかないことがあっても過剰に自己否定せず、自分の価値を保てます。根拠なき自信とも言われますが、人は自信があってこそ前向きになり、新しいことに挑戦できる。何より自分が好きだとハッピーです。そしてハッピーな母親は子供を過剰にコントロールしようとしなくなります」

 

そして、自己肯定感が高い親に育てられた子供もまた、自己肯定感が高くなる。子供を幸せにするためには、まず親が自分自身を好きになることが必須なのだ。

 

「ありのままの自分や相手を“見留める”(=認める)ことを『存在承認』と言います。その『存在承認』をピラミッドで表した場合、上から『才能』、『行動』、『存在』の3つになります。“絵が上手”“センスがいい”などの褒め言葉は、いちばん上の『才能』に対するもの。子供の成績への評価もここですね。また“よく勉強する”“掃除をがんばる”というのは真ん中の『行動』。この2つは、その人そのものではなく“付属品”です。他人からペタペタ貼り付けられたラベルにすぎません。自己肯定感を高めるには、まずいちばん下の『存在』を認めることが必要。“絵がうまいから好き”“よく頑張るから好き”ではなくて“私そのものが素晴らしい”と思えることが大切なのです」

 

子供の自己肯定感を高めるためにも、いちばん下の「存在」を認める声がけが有効だ。

 

「できたことを褒めるのではなく、子供の存在そのものを承認しましょう。たとえば家事の手伝いをしたときに、“お手伝いをしてくれてエライね”ではなく、“お母さんはあなたが手伝ってくれてすごく助かった。ありがとう!”と伝える。人の役に立つことは、自分が存在している喜びにつながります。この存在承認が、自信と自己肯定感を高めるのにとても重要。もっとも有効な言葉は『ありがとう』です」

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