家族4人で1カ月の電気代がたったの500円という”まさか”の家が、東京都内にあった!あきる野市に住むアズマカナコさんのお宅を訪ねると、まずインタホンを押そうとした手が止まった。〈ご用の方はベルを鳴らしてください〉とある。

 

ベルを鳴らすと、チリンチリンと心地よい音とともに現れたのはカナコさんと、長女ののぞみちゃん(6)、長男のつばさくん(2)。2人の子供たちは綿入りはんてんに素足と昭和のいで立ちだ。カナコさんはこの築60年という木造住宅で、サラリーマンのご主人と子供2人の4人で暮らす。

 

カナコさんの名刺には「省エネ生活研究家 昭和の暮らし/自然育児/捨てない生活/電気代500円/冷蔵庫なし」の文字が書かれていた。おじゃますると、居間のこたつについてこう説明をしてくれた。

 

「これは木炭の掘りごたつ。換気には注意が必要ですが、隙間だらけの日本家屋なので安心です(笑)。我が家は、家でも厚着です。寒い日は家でもマフラーや手袋をしています」

 

確かに部屋にはエアコンもホットカーペットもない。居間の片隅に火鉢があるだけだ。電気代の領収書を見せてもらうと、10アンペアの契約で1ヶ月の電気代は522円。電気代月500円は本当だった!

 

「冷蔵庫をなくしたことで、電気代が500円になったんです」と語るカナコさん。おととし冷蔵庫を処分した”跡地”には、いくつかのかめが置かれている。「常温保存できる手作り塩麹、漬け物、らっきょう、梅干しです」というカナコさんは「昔の日本の暮らしが大好き」なのだそう。肉や魚は食べたいときに買い、その日のうちに食べる。野菜は漬け物に。

 

以前は、周囲から変わり者と思われていたというカナコさんだが震災後、節電生活に注目が集まるようになった。そしてこのたび、彼女の暮らしぶりが『節電母さん』(集英社)というコミックエッセイにもなったのだ。

 

「節電は、発見と工夫です。楽しみを見つけるのがいちばん。私にとって、省エネは”趣味”なんです」(カナコさん)