荻原博子「全員に交付されるはずだった年金通帳はどこへ消えた」
「今となっては『消えた年金問題自体が消えた』と言ってもいい状況。申請があるものには対処していますが、これ以上は立ち行かないのが現状でしょう。自民党でダメだったこの問題に国民が怒ったから、民主党は政権を取ることができたのに」
そう憤るのは、経済ジャーナリストの荻原博子さん。『消えた年金』問題とは、’07年に社会保険庁のずさんな管理により、5千万件に及ぶ年金記録漏れが発覚、これを当時、野党だった民主党の長妻昭議員が追及したもの。不正をただす民主党の姿勢をアピールし、政権交代の遠因ともなった出来事だった。荻原さんはこう続ける。
「『消えた年金』問題に勢いがあったのは最初だけ。政権発足当初は『この問題に力を注ぐ』と、当時の厚生労働大臣であった長妻さんは豪語していましたが、どんどん尻すぼみになっていったのです。この問題で力を発揮するはずだった長妻さんも、官僚との軋轢で退任に追い込まれました。『消えた年金』問題を追及した本人が退いたことは、この問題が後退した理由のひとつでしょう」
今後、この問題の行方はどうなっていくのか。荻原さんはこう話す。
「加入者全員に交付されるはずだった『年金通帳』を受け取った人はいますか? 誰もいません。今では申し訳程度に、インターネットで加入状況を確認できる『年金ネット』の利用を推進しています。全件照合も今では不可能とされ、照合できたのは半分以下。まだ消えたままの人は多く存在するはずです。結局、自分で自分の年金は守るしかないのです。うやむやにされないよう、自分の年金はしっかり確認・点検し、おかしいと思ったら訂正させるしかないのです」
マニフェストを何ひとつ実行せず、マニフェストにはない『消費税増税法案』を成立させた民主党。これでは”やるやる詐欺”といわれてもしかたがない。